中国河南省、江西省、広東省などの地方政府は、公務員や公立学校の教師にすでに支給したボーナスを返還するよう要求したことがわかった。中国地方政府の財政難が浮き彫りになった。
中国当局は今まで、地方政府の幹部や公務員に対して贅沢を禁止し、倹約に努めるよう複数回、指示したことがある。
江西省南昌市水利局は7日、各下級機関に対して、「2021年6月7日以降に支給した市政府のボーナスについて、今後10日以内に無条件に全額を返還せよ」との通知を出した。
同省の徳興市政府は、公立学校の教師に対して、「7日内に給付したボーナスを返すように」と要求した。同市の教師の第1四半期(1~3月期)のボーナスは1人当たり2万元(約34万円)で、年間の合計は約8万元(約137万円)という。年末ボーナスは別に支給される。ボーナスの総額は教師の年収を上回る。
中国国内の学者である李橋氏は12日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、地方政府が公務員にボーナスの返還を求めるのは、各地の深刻な財政難を反映したものだと語った。
「当局は景気が回復していると主張しているが、私たち市民は実際、多くの店舗や工場が倒産したのを目にしている。新型コロナウイルスの大流行も影響して、政府の税収が減っているに違いない」と李氏は話した。
上海市、河南省、山東省、四川省重慶市、湖北省、広東省の公務員らは中国版ツイッター、微博(ウェイボー)で、ボーナスの支給停止、または返還指示を受けたと訴えていた。広東省潮州市の公務員は3日、住宅手当の支給中止の通知を受け取ったと明かした。
四川省成都市のネット作家、譚作人氏は、「約10の省の政府が公務員にボーナスの給付を取りやめ、または返還を求めたという情報を得た。地方政府の財政がひっ迫しているのが原因だ」と示した。
中国の末端公務員と小中学校の教師の月収は2000元余り(約3万4200円)から4000元(約6万8000円)となっている。ボーナスを返金すれば、公務員とその家族の生活は一段と厳しくなる。
RFAによると、中国国内ネット上では、地方政府がボーナスの返還ができない公務員らに対して、銀行でローンを組んでから返却するよう求めた。江西省の九江銀行はすでに、公務員を対象に「ボーナス返還ローン」を始めたという。
中国政府系メディアの報道では、昨年上半期において中国の財政赤字が前年比で3割増え、地方政府の債務は3兆4000億元増加した。当局の発表では、31の省・市の一般会計の収支のうち、財政黒字となったのは上海市だけだ。
李橋氏は、「これが中国当局の指導者が『倹約せよ』を繰り返している理由だ」と指摘した。
RFAは、ボーナスの返還を求められたのは中央政府の高官ではなく、末端の公務員と教師であることを非難した。
(翻訳編集・張哲)
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