米メディアによれば、中国はアフガニスタンにおける「一帯一路」開発計画を見据えて、米軍が使用していたバグラム空軍基地の利用調査を開始している。20年におよぶ米軍駐留時代では作戦や物流の要だった同飛行場が、中国の影響下に置かれる恐れがある。
USニュースが8日、中国軍関係者からの話を受けた匿名の関係者の話として伝えた。関係者によれば、2年後には部隊を配備することも検討されているという。
バグラム空軍基地に伸びる中国の食指について、ニッキー・ヘイリー前米国国連大使は米FOXニュースに2日出演した際、「中国の動向は注視するべき。バグラム空軍基地の獲得に乗り出すと思う」と警告した。ヘイリー氏は、中国がアフガ二スタンやパキスタンを利用して、対インド戦略を強化する狙いがあるのではないかと付け加えた。
米政策シンクタンク、スティムソン・センターの中国プログラム代表ユン・ソン氏は、中国の回答は信頼性に欠き、実際には空港利用に強い興味を持っていると述べた。ソン氏はUSニュースの取材に対して、中国がバグラム空軍基地を「占拠する」よりも、タリバンの要求に応じた人員や物資支援の派遣といった形で基地を利用する可能性があるとの推測を示した。
過激派組織タリバンが暫定政府の樹立を発表したその翌日、中国共産党は穀物や防寒具、ウイルスワクチンなど3100万米ドル相当の援助を行うと発表した。
中国とタリバンは、アフガニスタンにおける中国共産党の広域経済圏構想「一帯一路」に前向きであることを公言している。8月15日に首都カブール陥落を受けて、中国共産党機関紙はタリバンに対して「落ち着いたら一帯一路への参加」を検討するよう呼びかけた。
タリバン報道官は9月2日、伊メディアの取材に応じ、アフガニスタンの復興を始めるために、主に中国からの支援に期待していることを明らかにした。さらに、中国が開発と融資を行う「一帯一路」を讃え、同国の支援は豊富にある銅鉱山の開発に役立つと述べた。
過去、中国はカンボジアのリーム海軍基地など、経済支援を通じて戦略的地域の軍事的プレゼンスを拡大させてきた。中国西部新疆ウイグル自治区と国境を接するアフガニスタンの軍事施設を利用することで、関係が悪化しているインドにも影響も与えることができると考えられる。
なお、中国外務省の報道官は7日、タリバンはバグラム飛行場を中国側に引き渡す協議があるとの話や、米国が使用した5つの空軍基地を中国が視察するとの情報を「全くの偽情報だ」と否定した。
(翻訳編集・佐渡道世)
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