米国の前国家安全保障局(NSA)局長、前サイバー軍トップのマイケル・ロジャース氏はこのほど、中国サイバー攻撃に関する見解を示した。初期は、諸外国の知的財産を盗むことが重点だったが、現在はインターネットで情報・世論を操作し、イデオロギー分野に波及していると指摘した。
2014~18年まで、オバマ政権とトランプ政権で、国防総省の国家安全保障局長官を務めたロジャーズ氏は9日、米シンクタンク「ヘリテージ財団」の会合で、中国、ロシア、北朝鮮など主要な対米サイバー攻撃国家の特徴を比較し、中国のサイバー諜報活動の方向転換を分析した。
「当初、中国のサイバー諜報活動は伝統的なスパイ活動の延長だった。主に知的財産を盗み、米国や西側との経済競争で優位に立つことが目的だった」
「そのうち、中国側はサイバー攻撃能力をもっと幅広く活かすことを考え始めた。インターネットで中国に有利になるように、情報・世論操作をしたり、ニセ情報を拡散したりしている。5年前まではそうではなかったが、今はまさに進行中だ」
米サイバーセキュリティ会社のファイア・アイ(FireEye)が9日に発表した報告書によれば、2019年以降、中国政府の世論志向をサポートするニセ情報や宣伝は、30以上の多言語ソーシャルメディアプラットフォーム、数十のウェブサイトなどに広がった。テーマは、米国こそ新型コロナウイルスの発生源だとの主張や、香港の民主化運動への批判、中国の反体制派への糾弾などが含まれている。中国政府の論調を支持する一部のソーシャルメディアアカウントはまた、米国国内での抗議活動に参加するよう煽っていた。
ロジャーズ氏は、米政府がサイバーセキュリティに「レッドライン」を設けていないため、外国のサイバー攻撃者は恐れることなく、米国の反応を試そうと攻撃を仕掛けている、と苦言を呈した。
「相手はわれわれを試し続けている。高い代価を払わせるまでやめないだろう」とロジャーズ氏は述べた。
(翻訳編集・叶子)
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