2021年9月中旬に隣国である中国からの「深刻な脅威」に直面しているため、軍備をアップグレードする必要が緊急にあると警告した台湾は、今後5年間で約9000億円相当(90億米ドル)の新型ミサイルを含む追加の防衛費を提案した。
台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は、中国政府が「不可侵な」中国領土であると主張しているが、自治を行っている島に対する軍事と外交の圧力が増大しているため、十分な装備ではあるものの中国と比較すると小さく見える軍備の近代化と防衛費を増やすことを優先している。
2022年に予定されている約1兆7000億円相当(170億米ドル)の軍事費の枠外のこの追加予算は議会で承認される必要があるが、蔡総統が率いる与党が過半数を占めているため、問題なく承認されると思われる。
台湾国防部は中国の軍事力は急速に成長し、国防に多額の予算を費やしてきており、同部は声明で、「敵からの深刻な脅威に直面して、国家の軍隊は軍備の増強と準備に積極的に取り組んでおり、短期間で実績があり迅速に生産できる兵器と装備を入手することが急務である」と述べている。
台湾国防部の王信龍(Wang Shin-lung)副部長は、台湾が生産力を高めているので新しい軍備は国内で生産することになるが、米国は部品や技術の重要な供給国であり続けるだろうと記者団に述べた。
中国共産党が攻撃を開始した場合に米国が参戦するかどうかという疑問がある中、台湾は自国を防衛することができると強く示してきた。
台湾行政院の羅秉成(Lo Ping-cheng)報道官は、「我が国の安全を確保し決意を示すことができた場合のみ、国際社会は我が国のことをよく思うでしょう。他の人達が助けてくれるのは、私たちが自分自身を助けた場合だけです」と述べた。
追加の予算は中国が台湾を攻撃するのをためらうような「ハリネズミ」となるように台湾が軍備を近代化するよう求めていた米政府で好意的に受け取られる可能性がある。
ワシントン駐在の台湾の非公式代表者の一人であるイングリッド・ラーソン(Ingrid Larson)氏は、台湾が防衛改革を進めるために「現実的かつ緊急の必要性」があると強調した。
ラーソン氏は新アメリカ安全保障センターのシンクタンクに対して、「同地域および世界中の同盟国およびパートナーとして中国の攻撃的な行動にさらに対抗する必要があります。台湾は自らにしかできない変化にコミットし続けることが重要です。台湾はできるだけ強い抑止力を可能な限り早く構築しなければなりません。台湾には現実的な非対称能力と強力な予備兵力が必要です。非対称とは移動が容易であり、残存可能で相手に致命的なシステムを意味します」と述べている。
ラーソン氏は正式な外交上関係がない米国と台湾の関係を対処する目的の米国在台湾協会のワシントン本部の執行理事である。 防衛部によると、台湾は様々な武器に加え巡航ミサイルや軍艦などを追加予算で購入することを目指している。
台湾は南と東の沖合で新型の長距離ミサイルを実験を遂行しており、詳細は明らかにしていないが外交官や専門家は中国のはるか内陸の標的に到達できる可能性が高いと述べている。
台湾はこのミサイルを配備することで「空母キラー」と呼ばれる新型ステルス軍艦をすでに就役させており、さらに潜水艦を開発している。この発表は台湾の南岸から沖合に向けて大砲を発射して模擬侵攻から防御することが含まれる漢口年次軍事演習の最中に行われた。
(Indo-Pacific Defence Forum)
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