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先日、中国共産党軍の作戦機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。これは明らかに事態をエスカレートさせるものだ。中国共産党は尖閣に対しても同じような策略を取ってきた。私はこの策略を「3K政策」と呼んでいる。
3K政策とは
中国共産党の3K政策とは、数、規模、そして回数のことだ。
中国共産党は作戦機を相手の領域に侵入させて、事態をエスカレートさせようとしている。規模について言えば、昔は小型機を使っていたが、今は戦闘機や爆撃機を使っている。さらに回数も増やしている。年一回から月一回、そして週に一回と回数を増やせば、それだけ支配も強まる。数とは、一回の行動で使うユニットの数だ。
中国共産党の今回の行動に対する日本政府と岸田政権の対応は非常に弱いものだった。松野官房長官が記者会見で、「台湾をめぐる問題が当事者間の直接対話により平和的に解決されることを期待する」と述べたが、本当に弱いメッセージだと思った。説得力がなく、覚悟、意志が示されていない。それが従来の主張かもしれないが、新しい状況に対してなぜ従来の方針で対応しているのか。「3K政策」をとる中国共産党に対しては、それに応じた対応をしなければならない。
米国では、トランプ政権が対中関係を完全に再定義した。だが、日本はそれができていない。中国は覇権国家を目指し、尖閣や台湾の領海、領空侵犯を繰り返し、産業技術を盗み、貿易を利用して脅迫し、国内で人権弾圧やジェノサイドをしている。日本は現状を直視すべきだ。
日米の対策は
中国が台湾の防空識別圏へ繰り返し侵入していることに対して、いまの日本やアメリカに必要な対策は三点ある。
まず一点目として、従来の政策および対応の見直しが挙げられる。日本は中国をけん制し、批判すべきだ。日本は名指して、非平和的、非建設的なことをやめるようけん制すべきだと思う。松野官房長官の発言についても、岸田首相は訂正すべきだ。
二点目だが、米政府は、日本にある米軍機の一定数を台湾に移転させるべきだ。これは一時的なものでもいいが、今週にでも緊急に行うべきだ。それによって日本に力の空白が生じるが、必要な時はローテーションで戻せばよい。私は日本よりも、むしろ台湾が危ないと見ている。そしてこの行為により、台湾を守る意思があることを示すことができると思う。
三点目は、南シナ海で行っている多国間軍事演習に台湾を招待すべきだ。また、日本の軍事演習にも台湾を参加させるべきだ。台湾軍との関わりは外交的なメッセージにもなる。
一点目は政治的な対策、二点目は軍事的な対策、三点目はやや外交的な対策だ。これらの対策を今すぐに取る必要があるが、現状、中国共産党の動きに対して誰もけん制していない。(つづく)
ロバート・D・エルドリッヂ
1968年米国ニュージャージー州生まれ。政治学博士。米リンチバーグ大学卒業後、神戸大学大学院で日米関係史を研究する。大阪大学大学院准教授(公共政策)を経て、在沖アメリカ海兵隊政務外交部次長としてトモダチ作戦の立案に携わる。著書は『尖閣問題の起源』(名古屋大学出版会、2015年)など多数。
(聞き手・王文亮)
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