ノーベル経済学賞、米大学研究者3人に 最低賃金の影響など検証

2021/10/12 更新: 2021/10/12

[ストックホルム 11日 ロイター] – スウェーデン王立科学アカデミーは11日、2021年のノーベル経済学賞を米カリフォルニア大バークレー校のデービッド・カード氏(65)、米マサチューセッツ工科大(MIT)のヨシュア・アングリスト氏(61)、米スタンフォード大のグイド・インベンス氏(58)に授与すると発表した。最低賃金引き上げなどの経済的影響を「自然実験」により確かめたことが評価された。

医学やその他の自然科学とは異なり、経済学では厳密に管理された実験を行うことは不可能。代わりに、実生活の状況を使って影響を調べるのが自然実験で、この手法は他の社会科学にも広がっている。

経済科学賞委員会のピーター・フレドリクソン委員長は「彼らの研究は、重要な因果関係に関する疑問に答える能力を大幅に向上させ、社会に大きな利益をもたらした」と述べた。

カード氏は、1990年代初めに米ニュージャージー州で行った最低賃金の引き上げがファストフード業界に与える影響を分析。最低賃金の引き上げは雇用減少を招く、という経済学の通説を覆した。

この研究については、米国で最低賃金引き上げの法制化を進める際、バイデン政権などが経験的な証拠(エビデンス)として活用している。

アングリスト氏は、MITが主催したオンライン会見でエリート公立学校への進学問題に関する研究について説明し、エリート公立学校の卒業生が優秀であることが多いのは、教育よりも選抜入学に関係があることが分かったと述べた。

ノーベル委員会は、自然実験は解釈が難しいが、アングリスト氏とインベンス氏は1990年代半ばに方法論上の問題を解決し、実験により因果関係について正確な結論を導き出せることを示したと評価した。

3人には賞金1000万スウェーデンクローナ(114万ドル)が贈られる。

Reuters
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