ウクライナ侵攻に「理解」示す中国共産党

2022/02/27 更新: 2022/02/27

中国共産党は、ウクライナを攻撃したロシアに対して表面的には曖昧な態度を示している。欧米の制裁による影響は避けたいが、ロシア関係を重視するといった中立的な立場を模索している。

中国工商銀行中国銀行はロシア産商品現物を購入するためのドル建て信用状の発行を停止した。世界最大の原油購入国である中国の原油輸入業者は、状況の急変で一時的に取引を停止した。

そのいっぽうで、中国はロシア産の小麦の輸入を拡大すると発表した。欧米の制裁の効力を弱め、ロシアが望むキャッシュ・フロー(現金流量)を提供することになる。ロシアは世界最大の小麦生産国であり、ウクライナは世界第5位である。

中国は米国の求めに応じず石油備蓄の放出を拒否した。2014年のクリミア併合以降ぶりの石油価格上昇を抑えるため日本やインド、韓国、英国は埋蔵量の一部を市場に放出するよう努めている。

中国共産党指導部はロシアの戦争を「侵攻」と言わず非難さえも拒否している。この危機を利用して米国と北大西洋条約機構(NATO)に矛先を向け、ウクライナ侵略をあおったとして非難し続けている。

王毅外相は25日、ウクライナの主権を認め対話による解決を提案したが、ロシアの安全保障上の合理的な懸念を理解していると述べた。華春瑩外交部報道局長は24日、22年前のNATOによる空爆で3人の中国人ジャーナリストが死亡した事件を取りあげ「NATOは今でも中国人に血の負債を負っている」と述べた。

中国共産党政権の外交政策がロシア寄りに統制されていることを裏付ける証拠も出ている。新京報傘下の国際報道動画チャンネル「世面」が不作為に漏らしたという内部メモによると、ウクライナ侵攻についてロシアを批判する内容を掲載しないよう中国国営メディアは指示されている。

中国国内のソーシャルメディアでは、ロシアによる強制的な行動を受けて、一部にはプーチン大統領の支持や台湾に対する強制併合の声が浮上した。ウクライナ情勢により民族主義的な意見が高潮したことを示しているといえる。

クレムリンが25日に発表した声明によると、習近平中国主席はプーチン露大統領との電話会談を行い、ロシアへの支持を表明したという。「習近平氏は現在の危機におけるロシア指導部の行動を尊重することを強調した」と書かれている。

(Andrew Thornebrooke/翻訳編集・武田綾香)

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