中国国内の学者はこのほど、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領と決別するよう中国指導部に呼びかけた。学者は、ロシアと関係を深めれば、中国も今後、国際社会で孤立化すると警告した。中国のネット検閲当局はこの主張を封殺した。
米NGO団体、カーターセンターの米中関係に関する中国語情報サイト「中米印象」は11日、中国国務院参事室公共政策研究センターの胡偉・副理事長が執筆した記事を掲載した。
胡氏はロシア・ウクライナ戦争について、「プーチン氏は目標を達成できず、ロシアは苦境に陥る可能性がある。また、ロシアとウクライナの間の戦争は一段と激化し、西側諸国も参戦する可能性がある。ロシアは国力を投じてウクライナをやっとの思いで占領したとしても、その負担に絶えきれず圧倒されるだろう。さらに、ロシア国内の政局も大きく変化し、(プーチン政権は)欧米側に解体される可能性すらある」などと、今後の見通しを示した。
同氏は、ロシアが第三次世界大戦、または核戦争を引き起こせば「天下の大罪を犯す」ことになると指摘。
露側のウクライナ侵攻が国際情勢にもたらす影響について、胡偉氏は「米国は西側世界のリーダーシップを取り戻し、西側諸国の結束は強まるだろう」との認識を示し、「中国は既存の枠組みの中でより孤立するだろう。米国と欧米各国の対中包囲網はさらに狭まる」とした。
「欧州は一段と中国の切り離しを進め、日本は反中の急先鋒になるほか、韓国はより一層米国に傾き、他の各国はどちらの陣営を選ぶかを迫られ、台湾も反中陣営に加わるだろう」
胡偉氏は「西側の力はさらに強くなり、北大西洋条約機構(NATO)の勢力も引き続き拡大する。西側世界に属さない国々にも米国の影響力が高まる」と予測した。
同氏は、中国が将来的に不利な状況に陥ると危惧し、中国指導部に対して提言を行った。
「プーチン氏のそばに立ってはならないだけでなく、明確な行動をとり、プーチン氏が行いうる試みを阻止しなければならない」
「できるだけ早くプーチン氏との関係を断ち切ったほうがいい」
「(中国は)中立の立場を放棄し、世界の主流と同じ立場を選ぶように」
「これ以上欧米諸国に孤立化されないよう、できるだけ包囲網からの戦略的な突破を実現するように」
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)14日付は、「中米印象」のSNS微信(ウィーチャット)公式アカウントが胡偉氏の同記事を投稿したため、中国国内のユーザーも一時読めたが、中国のネット検閲当局によって削除されたと報じた。
(翻訳編集・張哲)
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