米専門家はこのほど、中共ウイルス(新型コロナ)の感染対策、不動産セクターの債務危機、IT企業への規制強化、人口構成について分析し、今後中国情勢が大きく混乱すると警告した。
シンクタンク、外交問題評議会のセバスチャン・マラビー上級研究員は24日、米紙ワシントン・ポストに寄稿した。同氏は、5G(次世代移動通信網)や人工知能など、テクノロジー分野で米国を追い越そうとしている経済大国の中国は「病んでいる巨人だ」とし、近年、中国の弱点がますます顕在化したとの認識を示した。
マラビー氏は、中国の今年の国内総生産(GDP)成長率について、中国政府が設定した目標「5%前後」を下回り、3%の見通しだとした。年間成長率が約8%だった十数年前と比較して、今の状況は「屈辱的」で、「権威主義体制は限界に達している」と指摘した。
同氏は、中国が直面している最大の課題は、中共ウイルスの大流行だとした。中国政府が上海市や深セン市を含む全国各地で行った「経済に破滅的な影響を与える外出制限」は世界のサプライチェーンを混乱させ、数百万人に食糧不足などの苦難をもたらした。中国とミャンマーの国境に位置する町、瑞麗市の住民は2021年3月~22年4月にかけて、累計で119日間も外出を禁止された。
世界各国が社会経済活動を再開しウィズコロナを模索する中、極端な「ゼロコロナ」政策を続ける中国政府に、中国の人々は強く憤慨している。今月18日、南部貴州省で隔離施設へ向かっていた大型バスが横転し、27人が死亡した。地元政府は一部の役人を停職処分にしたが、依然としてネット上では反発の声が高い。
マラビー氏は、中国が解決しなければならない2つ目の課題は、不動産問題だと示した。中国政府の「歪んだ」政策が不動産市場の「不健全な成長」を促した。中国政府は銀行や地方政府に住宅の建設ブームに関わるよう命じたため、銀行の不良債権や地方政府の債務が急増しただけでなく、国内の不動産開発大手が債務不履行(デフォルト)に陥った。現在、住宅ローンの返済拒否運動が100以上の都市に広がり、住宅価格は12カ月連続で下落している。
同氏は、不動産セクターが中国経済の4分の1を占めているため、「同セクターの崩壊はより広範囲の不況を招く恐れがある」と警告した。
3つ目の課題は、中国政府が政治的な理由でIT企業を締め付けることで「中国の技術力に暗雲を投げかけている」と同氏は指摘した。
マラビー氏は、中国の人口問題が共産党政権が現在直面する4つ目の課題との考えを示した。中国政府が1979年に人口抑制政策、「一人っ子政策」を導入してから、性選択的中絶、ジェンダーの不均衡、出生率の低下などで人口構成が歪み、少子高齢化が速く進み、労働人口が急減した。政府が方針を転換し、2016年に「二人っ子政策」、21年に「三人っ子政策」に移行したが、「出生率は回復していない」と強調した。
同氏は24日、ワシントン・ポストへの寄稿に関して「中央集権的な経済モデルは終焉を迎えつつある」とツイートした。
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