中国の一部の銀行預金者の「1日のオンライン送金限度額」が500元(約1万円)に引き下げられたことがわかった。これでは、ネットでの少々高いお買い物ができないばかりか、家賃や医療費といった日常出費の支払いにも支障が出る。
「預金口座を解約してやる! 金を返せ!」
この事態に、怒り心頭の預金者が銀行窓口で抗議する動画がSNSに数多く投稿されており、世論の怒りが高まっている。
「銀行キャッシュカードの送金限度額が500元に引き下げられた……」
14日、この衝撃的なトピックスは、中国SNSウェイボー(微博)でトレンド入りした。
きっかけは、「何の通知もなく」、自分の銀行キャッシュカードの1日の送金限度額が500元に、年間送金限度額が1万元(約21万円)に引き下げられたことに気づいたある上海在住の男性による怒りの投稿だ。
この男性の身に起きた「悲劇」はSNSで猛拡散され、関連動画に寄せられコメントは(24時間以内)1.6万件を超えた。
「自分もそうだ」
「子供の学費や食事の支払いができない」と訴えるユーザーが後を絶たず、なかには、「もう銀行にお金を預けるな」と提案する人も少なくない。
昨年、青島銀行や大連銀行など多くの銀行は、「個人口座の1日の送金限度額を5千元(約10万円)以下に引き下げる」と相次いで発表している。
今年7月以降、浙江省、山東省、山西省、河北省、貴州省など中国各地の多くの銀行が「電信詐欺防止」を口実に、一部預金客のスマホの送金限度額を100~3千元(約2千~6万円)に引き下げている。
オンラインの送金限度額を増やすには、身分証明証、不動産所有権証明証(房産証)、居住証および就労証明といった書類を持参のうえ、銀行窓口で手続きをしなければならない。
新型コロナによるパンデミック以降、中国の銀行で通常のキャッシュカードを作る場合、銀行側は契約者の財産証明や家族メンバーの個人情報など多くの情報提供を求めるようになった。なかには、警察署に申請をし、関連資料の提出を必要とする場合もある。
この現状について、中国問題に詳しい時事評論家の唐靖遠氏は、「こうなったことの根本的な原因は、中国当局が、預金者の取り付け騒ぎを起こすのを、阻止することである。不動産危機と地方政府債務危機により、今は多くの銀行が破産寸前の状態にある」と指摘している。
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