中国から輸入する重要鉱物が、強制労働に関わる産品の輸入を禁じる「ウイグル強制労働防止法」に違反している可能性が高いとして、米上院議員は審査方法などを問う書簡を米国税関・国境警備局(CBP)に送った。
書簡は、下院外交委員会の共和党トップを務めるマイケル・マッコール議員と、情報・テロ対策に関する国土安全保障小委員会で上級委員を務めるオーガスト・プルーガー議員が9月29日付で提出した。
重要鉱物産業の中国企業が新疆ウイグル自治区で強制労働に関わっているとニューヨーク・タイムズなどが最近報じている。両氏は記事を引用して、強制労働に関わる製品の米国輸入を防ぐためにどのような審査を行っているのか、また議会からはどのような情報を必要としているのかをCBPに問うた。10月15日までの返答を求めている。
電気自動車(EV)や工業用電機機器などの普及にともない、鉱物資源であるレアアースの需要は増加している。中国は世界の加工済みレアアースの85種以上を生産するなど、レアアース市場をほぼ独占している。米地質調査所(USGS)によれば、2017年〜2020年に輸入されたレアアース化合物および金属の78%を中国が占めているという。
しかし、こうした中国のレアアース市場の独占は「不公正な貿易慣行、環境基準への最小限の配慮、中国の重要鉱物企業への巨額の国家財政支援、強制労働」によってもたらされたと、議員らは指摘する。
「新疆ウイグル自治区産のポリシリコンや綿花は強制労働の代名詞になっている。しかし、最近の報道と重要鉱物のサプライチェーンの追跡が極めて困難であることを踏まえると、重要鉱物製品の輸入もウイグル強制労働防止法に違反している可能性が高い」
バイデン米大統領は昨年末、強制労働を理由に中国新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法案」に署名、今年6月に施行された。いっぽうで、強制労働で生産された製品が依然として米国市場に出回っているとして、各国のウイグル人組織を統括する「世界ウイグル会議」は輸入制限を強力に執行するよう求めている。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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