台湾への中国からの脅威で問われるインターネットアクセスの自由

2022/11/02 更新: 2022/11/02

インターネットアクセスに関する国際的報告書が、台湾が中国に領土として吸収された場合、台湾が失うことになる1つの自由を紹介している。 ワシントンD.C.に拠点を置く民主的な変化を促進する非営利団体フリーダムハウスの報告「ネット上の自由 2022年」によると、台湾は調査対象の70か国の中でインターネットの自由度で第5位にランクされており、その手頃なアクセス、多様なコンテンツ、ブロックやシャットダウンのなさが評価されているが、中国は第70位にランクされている。

フリーダムハウスによって特定された5つの形態の政府によるインターネット検閲を課しているのは中国とキューバだけだ。 中国は、同調査で8年連続で最下位にランクされている。 2022年の第1位はアイスランドで、デジタルの自由にとって最悪の国としてはロシアとイランを含む独裁国家が中国とともに選ばれた。

習近平総書記は、5年ごとに開催される2022年10月の中国共産党大会で、必要に応じて台湾を武力で統合する意向を改めて示した。 中国は「一国二制度」のアプローチを提案している。これは20年以上前に中国が特別行政区として旧イギリス植民地の香港を支配下に置いた時と同じ約束だ。 中国は、香港がイギリスの管理下に置かれていた高度な自治を少なくとも50年間維持することを約束した。 しかし、中国政府はすぐに大きな直接的影響力の主張を強め始め、2020年には、徹底的な国家安全法が施行されたことでその影響力が加速することとなった。 香港ではインターネットの開放性をはじめ、多くの自由が失われつつある。

2021年9月、米中経済・安全保障問題検討委員会でフリーダム・ハウスのアナリストは「中国共産党政権下の香港では、オンライン活動による逮捕や起訴が日常化している」と証言している。 ジャーナリストもその対象となっている。 国際ジャーナリスト連盟(IFJ)が2022年10月に発表した報告書によると、広く流通していた蘋果日報や立場新聞を含む香港の少なくとも12の独立系ニュース機関は恒久的に閉鎖されている。国際ジャーナリスト連盟は140か国以上に60万人の会員を擁している。 同連盟によると、中国共産党は香港に関する外部からの報道を抑止しようとしているが、新たな香港と中国語のメディアが「台湾、英国、カナダ、米国で台頭してきており、中国のストーリーに代わる重要な視点を提供している」という。

2022年10月に発表され、freedomonthenet.orgで入手可能な「ネット上の自由」は、香港について言及していない。 しかし、同報告書は台湾と中国のインターネットに関する政策と慣行を対比した研究を掲載している。台湾は、アクセスの障害、コンテンツの制限、ユーザー権利の侵害という3つのカテゴリにもとづく21の指標で、100点満点中79点を獲得している。 中国の点数はわずか10点だった。 「台湾は、アジアで最も自由なオンライン環境を提供している国のひとつだ」と同報告書は述べている。

台湾はまた、「規制の不一致を埋め合わせ、データ保護のための「ベストプラクティス」の下でのデータの自由な流れを促進」することを目的に2022年に設立された「世界越境プライバシールールフォーラム」の設立国のひとつとして称賛された。 同フォーラム設立にはまた、カナダ、日本、フィリピン、シンガポール、韓国、米国が関わった。

同報告書によると、インターネットの自由を抑止するために中国が2022年に標的のひとつとしているのが台湾だ。 報告書によると、人口2,400万人のこの島は「中国が発信元とされる一連の偽情報にさらされている」という。その一部は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻に関連している。 これに対し、台湾政府は市民団体と協力して、話題となっている偽情報をユーザーが報告できるツールを開発した。

同報告書によると、中国は世界で最も洗練されたインターネット検閲装置「グレート・ファイアウォール」を運用している。 「通常、個人、ポリシー、または一党制に不可欠と見なされるイベントに対する批判といったコンテンツがブロックされている」と報告書は述べている。 「検閲の範囲は拡大し続けており、中国のユーザーは高度に制御され、監視され、操作されたバージョンのインターネットにのみアクセスできるようになっている」という。

フリーダム・ハウスは、以下のような中国国内の制限例を挙げている:

•当局が新型コロナウイルス感染症による厳しいロックダウンに対するオンライン上の批判を検閲し、新型コロナウイルス関連の情報を共有したインターネットユーザーに嫌がらせを行い、パンデミックの報道を行ったジャーナリストや活動家の拘束を続けた。

•元中国副首相との性的関係を強要されたと主張した中国のテニススター彭帥氏のソーシャルメディア投稿を削除し、話題をもみ消した。

•当局が、ジャーナリスト、人権弁護士、活動家、宗教および少数民族を彼らのオンライン活動を理由に拘束し、ウェブサイトにコンテンツを提供したとして、スピリチュアル・ムーブメント「法輪功」の実践者に8年の懲役を宣告した。

•主要なインターネット規制当局が、プラットフォームに対して中国共産党党首の公式イデオロギーである「習近平思想」と合ったコンテンツの適正化と推奨システムを義務付けた。

同報告書はまた、これまでの専制的な努力に対抗する勢力として、基本的自由を維持するための世界的なデジタル標準を形作る民主主義国による努力が復活している点も指摘している。 こうした攻防は、国連の情報通信技術機関である国際電気通信連合(ITU)でも展開されている。 2022年に米国大使がロシア政府の支援を受けた候補者を破り、ITUの事務局長に選出された。さらに、「民主主義のためのサミット」と「インターネットの未来のための宣言」という2つの米国主導のイニシアチブが、共通の国際規範を強化しようとしている。

こうした動きは、中国とロシアが独裁的な利益を推進する世界的なインターネット規制機関へとITUを変革しようとしている最中に起こった。 「そうなれば、オープンなインターネットを根本的に変えることになる」と報告書は述べ、「何十億人もの人々が、政府からの明示的な許可なしには互いにコミュニケーションを取ることができなくなり、人生を変えるリソースにアクセスすることが妨げられるようになるだろう」と述べている。

Indo-Pacific Defence Forum
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