社会主義的なグリーン・ニューディール…代替案必要 米共和党員が議論

2022/11/09 更新: 2022/12/04

「もし共和党が議会の両院を占めれば、バイデンの気候変動政策には狂いが生じるだろう」「民主党の話はグリーンエネルギー、ネットゼロ(脱炭素)、気候ばかり。選挙結果に反映する」。米ニューヨークの首都圏共和党クラブ(Met Club)がマンハッタンで開いた討論会では、民主党の気候変動政策を批判しつつ、代替案について議論された。

米民主党政権は脱炭素政策に積極的で、石油やガスといった伝統的なエネルギー事業を冷遇的だ。選挙を控えたバイデン大統領は10月末の記者会見でも、米大手石油会社は大幅増収を達成したにもかかわらずガソリン価格を下げるための取り組みをしていないと批判し、石油会社に対する増税策さえ示唆した。

ロシアによるウクライナ戦争の影響でエネルギー価格が高騰し、物価高の一因となった。米国民の世論にとってエネルギー政策の関心は高い。

こうしたなか共和党員たちは、伝統的な価値観のもと環境エネルギー政策を練り出そうとしている。Met Club会計のジョン・スウィニー氏は、「社会主義的グリーン・ニューディールの阻止」と題した討論会で、気候政策について共和党員間で意見の違いはあれど、8日の中間選挙の後には統一され、党の取り組みとして焦点となる可能性があると述べた。

「(民主党の気候変動政策に対する)反対意見を聞いているよりも、共和党員は党として実際にどういう取り組みができるのかといった政策論争に期待する」とスウィニー氏は述べた。

討論会では、ジョン・カーティス下院議員とClimateDepot.orgの創設者兼事務局長であるマーク・モラノ氏が結成した共和党環境同盟・保守気候コーカス(Conservative Climate Caucus、CCC)について話題に上った。

保守気候コーカスは、そのウェブサイトで、米国経済、米国労働者、国家安全保障を損なう政策と闘いながら、共和党に対しては保守的な気候変動対策を啓蒙する連合であると自らを特徴づけている。

「保守気候コーカスは政策課題を推進するものではない。私たちが推し進めるのは許認可改革であり、それが一番の優先事項だ」と、コーカス結成を推した米国自然保護連合(ACC)の政府担当副会長クゥイール・ロビンソン氏は討論会で述べた。

許認可改革とは、実施できれば現在から2032年の間に約3兆ドルのクリーンエネルギー投資が得られるというもの。きれいな水やきれいな空気と並ぶ数少ない環境問題のナラティブの1つだ。

討論に出席した、ClimateDepot.orgの創設者兼事務局長マーク・モラノ氏は、「許可制改革により、より良いアメリカのエネルギーをより安くより早く手に入れることができ、外国と競争することが容易になる」と語った。

全体的な印象として、討論は気候変動が及ぼすコストや、どのような政策が実際に有効なのかについて、意見が割れた。「グリーン・ニューディールが気に入らないからといって、気候変動を問題として捨て去ろうというわけではない」とロビンソン氏は述べた。

一方、モラノ氏は、政府の大きな権限が必要とされる既存の自然災害以上に、気候変動はより重大な危険をもたらすものではなく、国連が主導する気候変動問題そのものこそが、進歩に対する最大の脅威であると考えている。彼は、気候に関するさまざまな見解があるのにもかかわらず、共和党が、国産エネルギーを推進する米国エネルギー政策を策定することを望んでいる。

「富はよりクリーンな環境を作り出し、技術はより低い排出量を作り出す。気候を憂うなら、これこそ進むべき道だ」とモラノ氏は主張した。

ロビンソン氏は「気候変動が脅威と考える若い保守派の声に、共和党は応えるべきだ」と主張したが、モラノ氏は環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏やユース・クライメット・ムーブメントなど左派運動を例にあげ、対応には慎重姿勢を示した。

(翻訳・大室誠)

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