中国共産党による厳格な感染症政策「ゼロコロナ」に反対する抗議デモ「白紙運動(白紙革命)」が11月週末、中国各地で行われた。体制批判にまで及んだこの運動は、ソーシャルメディアを通じて日本や米国、欧州、東南アジアなどにも伝わり、在外華人の連帯を促した。
東京や大阪、名古屋で先週末に開かれた抗議集会では、「言論の自由」「報道の自由」「習近平下台!共産党下台!」(習近平辞めろ!打倒共産党!)といった中国本土の抗議デモと同じスローガンが叫ばれ、参加者は検閲への抵抗を意味する白紙を掲げた。
中国当局が非公式に設置している「海外警察署」を含む越境弾圧の問題を受けて、参加者らは身元を隠すために顔をマスクで覆った。集会主催者は顔写りがないようマスメディアに配慮を呼びかけた。
台湾でも4日、民主活動家らが率いる人権団体が台北市の自由広場で中国抗議デモを支援する集会を開催。約100人が白い紙を掲げて連帯を示した。インドでも今月2日、首都ニューデリーにある議会議事堂前で亡命チベット人ら約150人が反ゼロコロナの抗議デモを開いた。
韓国でも先月30日、ソウルの弘大(ホンデ)通り広場で韓国初の「白紙デモ」が開かれた。大規模デモの契機となったウルムチのビル火災の発生日を意味する「1124」の数字のロウソクで形作り、犠牲者を弔った。
中国抗議デモに支持を示す運動はオーストラリアや英国、米国でも行われた。
中国当局は国内のデモ参加者を監視システムで追跡して逮捕するほか、規制緩和などで事態の鎮静化を図っている。
いっぽう、海外ではデモ参加者に対して脅迫による封じ込めを試みているとの報道もある。日本での運動を呼びかけた在日華人は米放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、中国大使館員から「帰国した時にトラブルに巻き込まれるぞ」と脅されたと明らかにした。
中国国内の抗議運動の画像や動画を絶えずツイッター(Twitter)で配信するアカウント「李老师不是你老师(邦訳:李先生はあなたの先生ではない)」の運営者はイタリア拠点のアーティストだが、頻繁に脅迫メッセージが届き、中国国内にいる家族は警察の訪問を受けたという。MITテクノロジー・レビューが2日に報じている。
政府は7日、「ゼロコロナ」政策の大幅緩和を文書で発表したが、デモの影響に関しては言及していない。
中国疾病予防センター副局長の6日の清華大学での演説によれば、ワクチン接種率の上昇前に封鎖措置を解除すれば、免疫力向上は自然感染に頼らざるを得なくなるとの見方を示した。
これを受けて、米シンクタンク・大西洋協議会(CFR)のグローバルヘルス担当・黄延中氏は中国の人口の60%が感染する流行の波が再来する可能性があると指摘した。
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