中国ではゼロコロナ政策緩和後、北京などの大都市で感染者が急増し、薬品や病床の確保が困難となっている。いっぽう、感染拡大は早い時期に既に始まっており、感染状況を抑えきれないと判断した当局がやむなく封鎖を解除したとの情報もある。
近日、著名人や高官・学者などの訃報が中国の新聞誌面を多く占めるようになった。清華大学の発表によると、直近1か月で18人の元教授らが死去した。また、元サッカー選手や芸能人など、30代〜40代の死亡例も報告されている。
ゼロコロナ緩和前から感染拡大
北京市内の病院事情に詳しい情報筋は大紀元の取材に対し、ゼロコロナ政策が緩和される前から、北京市内では既に感染が拡大していたと指摘する。しかし、中国当局は感染拡大の責任を「白紙革命」に転嫁しているという。
「白紙革命をきっかけにゼロコロナ政策が緩和されたのではない。当局によって都合よく口実にされただけだ」
情報筋によると、白紙革命が勃発する前には感染状況が相当に悪化し、当局がコントロールできない状況になっていた。病院内では高齢者や患者の多くがコロナウイルスに感染していた。しかし、ゼロコロナ政策によって患者が迅速な治療を受けられず、死亡するケースが後を絶たなかった。
「彼ら(放置されたコロナ感染者)はウイルスによってではなく、適切な治療を受けられずに亡くなったのだ」
この状況を裏付けるように、世界保健機関(WHO)公衆衛生緊急プログラムの理事を務めるマイク・ライアン氏は14日、北京当局がゼロコロナ政策を緩和させる以前から、中国国内のコロナ感染者数は爆発的に増加していたと明らかにしている。
逼迫する火葬業者
北京市内で葬儀業務を行う「北京陵園」は19日、大紀元の問い合わせに対して、葬式に関わる一連のサービスの受付を一時停止していると語った。
「我々は葬式業務の新規受付を一時中止している。北京市内の葬式場の予約はいっぱいになっており、どの業者もなんとか葬式場の確保に努めている状況だ。受付再開の目処は立っていない」
感染が拡大する河北省石家荘市内の火葬場では火葬炉を24時間稼働させているものの遺体の処理が追いつかず、受付から火葬まで2〜3日を要している。
石家荘の葬場で勤務するある女性は大紀元の取材に対し「ここでは告別式もできていない。コロナ期間中は予約制から受付制へと切り替えたが、それにより現在は24時間体制で火葬している」と答えた。
「受付をしてもすぐに火葬できるわけではない。現在は最低でも二日は待たされる」と、その逼迫状況を語った。
行政、物流にも支障
石家荘市に住む劉さんは一度感染し、現在は快方に向かっている。17日、大紀元の取材に対し、ゼロコロナ政策緩和の前夜に当たる11月末頃には感染爆発が始まっていたと語った。感染状況は12月に入ってからさらに悪化しているという。
「それ以上封鎖し続け、それでも感染拡大が止まらない場合、それはゼロコロナ政策の失敗を意味する。だから(地方当局は)制限を緩和したのだ」
石家荘市は現在感染のピークを迎えており、ゼロコロナ政策を続けていた時よりも閑散としているという。
「デパートや公共交通機関は通常運転だが、みんな怖がって外出を控えている。一時休業もしている店も多い」
また、感染状況の悪化により、地方政府の行政にも支障をきたしている。役所や司法機関、公安部門などでは公務員の感染が相次ぎ、未感染の者も自宅待機している状況だという。
「今、石家荘のドラッグストアはどこも長い行列ができている」。そう語る劉さんは、ドラッグストアの薬品不足を嘆いた。「2回ほど買い物に行ったが、いずれも並ばなければ薬を買えない状態だった。仕方なく自宅に余っていた薬を飲み、多めに水を飲んで、今はなんとか体調は回復している」
(翻訳編集・王天雨、大道修、Wenliang Wang)
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