米国の超党派議員は、米企業と中国政府機関との契約がもたらす、国家安全保障リスクを評価するよう政府説明責任局(GAO)に求めた。米軍情報にアクセス可能な大手コンサルティング企業が中国側に助言していた過去の事例を挙げて、警告を発した。
ジョシュ・ホーリー米上院議員と上院国土安全保障・政府問題委員会のゲイリー・ピーターズ委員長はリスク評価を求める書簡をGAOに送った。こうした企業は「中国政府のような敵対勢力とも契約する企業が受け入れがたい利益相反を引き起こす恐れがある」と議員は指摘した。
その一例として、国防総省などが中国政府関連組織とも契約を結ぶ米コンサルティング会社の提携を挙げた。これらの中国政府関連組織は「南シナ海に爆撃機を配置するための人工島を建設したり、台湾への水陸両用作戦のための演習に参加」しているケースもある。
ホーリー氏は昨年7月に発表した法案声明のなかで、米国防総省など複数の政府機関から数百万ドルの契約を定期的に受注するコンサル大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーが、中国国有企業ともコンサルティングサービスを提供していたと指摘。米NBCニュースの報道を引用し、マッキンゼーは米軍の内部情報にアクセス可能で、中国の軍備増強や影響力拡大について提言を行なっていたと言及していた。
書簡は、米中双方の政府機関と提携する企業内での情報管理体制にも懸念を示した。「これらの企業内での情報共有により、中国企業が米国政府のデータにアクセスしたり、それを利用したりする」事態になりかねないと述べた。
近年、米国は政府の契約や技術サービス面において中国企業を排除する動きを強めている。議会は昨年12月、中国動画アプリ「TikTok」の政府所有端末での使用禁止規定を盛り込んだ歳出関連法案を通過したほか、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などが製造する新たな通信機器の承認を禁止している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。