12月18日、動画投稿アプリ「TikTok」の中国親会社バイトダンスは、アメリカ政府による利用禁止措置を回避するため、IT企業オラクルなど3社の主要投資家と法的拘束力のある合意を結び、アメリカ事業を運営する新たな合弁会社を設立すると発表した。
ロイターによると、合意に基づき、新会社の株式の80.1%をアメリカおよび海外の投資家が保有し、バイトダンスは事業分離後も19.9%の持ち分を保持する。
TikTokの最高経営責任者である周受資氏は、従業員向けの社内メモで「投資家と新たなTikTok米合弁会社に関する合意に署名した」と説明した。ロイターはこのメモを確認している。
周氏によると、新たな合弁会社は独立した法人として運営され、アメリカにおけるデータ保護、アルゴリズムの安全性、コンテンツ審査、ソフトウェアの安全対策を担う。一方で、TikTokのアメリカ法人は引き続き、電子商取引や広告、マーケティングなど一部の商業活動や、グローバル製品の相互運用性の管理を担当するとしている。
TikTokは同日、バイトダンスとともに、オラクル、シルバーレイク、MGXの3社と、TikTok USDS Joint Venture LLCと名付けた新会社の設立に向けた拘束力のある合意を締結したことを、社内に通知した。
今回の取引内容は、9月に公表された計画と大筋で一致している。当時、トランプ米大統領は、TikTokを巡る禁止措置の発効期限を来年1月20日まで延期していた。
アメリカ政府はこれまで、国家安全保障上の懸念を理由に、バイトダンスに対しTikTokのアメリカ事業の分離を求めてきた。9月に、トランプ氏はTikTokのアメリカ事業をバイトダンスから切り離すことを認める大統領令に署名した。
ホワイトハウスは、オラクルとシルバーレイクがTikTokアメリカ事業の主要株主になるとの見方を示してきた。フォックス・ニュースによると、今週初め、ホワイトハウス高官は、バイトダンスの持ち分は20%未満にとどまり、残りは既存株主や国際的な投資家が保有すると説明した。
ロイターが確認した社内メモによると、新合弁会社の50%は新たな投資家連合が保有し、オラクル、シルバーレイク、MGXがそれぞれ15%ずつ出資する。バイトダンスの一部既存投資家の関連会社が30.1%を保有し、バイトダンス自身は19.9%を維持する。
取引は、1月22日に完了する見通しだ。
オラクルはロイターの取材に対しコメントを控え、ホワイトハウスは関連する質問をTikTok側に委ねた。バイトダンスは、ロイターからのコメント要請に現時点では応じていない。
アメリカ下院の対中国共産党特別委員会のムーレナール委員長は、2026年に公聴会を開き、新たなTikTokアメリカ法人の経営陣を招致する考えを示している。
9月に出された大統領令では、TikTokのアルゴリズムはアメリカ企業の安全保障パートナーによって再構築および監視され、運用は新たな合弁会社が管理すると定められている。また、取引は1月末までに完了することが求められている。
合意内容には、バイトダンスが新会社の取締役7人のうち1人を指名し、残る取締役はアメリカ人が過半数を占めることも盛り込まれている。
オラクルは「信頼できる安全保障パートナー」として、コンプライアンスの監査や検証を担い、アメリカの利用者データは、同社が運営するアメリカ国内の安全なクラウド環境で管理される。
投資調査会社Huber Research Partnersのアナリスト、クレイグ・A・フーバー氏はロイターに対し、「現時点で大きな規制上の障害は見当たらない。連邦政府とトランプ大統領が当初から深く関与してきた経緯を踏まえれば、この取引は円滑に承認される可能性が高い」と述べた。
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