中国共産党が中国動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国ユーザーデータにアクセスしていると報告したことで運営元のバイトダンスから解雇された同社元幹部の余印濤(Yu Yingtao、音訳)氏は12日、サンフランシスコ高等裁判所に不当解雇訴訟を起こした。
余氏はバイトダンスの不正行為を問題視し、上司に進言したところ2018年11月に同社を解雇されたと主張している。
余氏は訴状の中で、中国共産党幹部が米国に保存されている個人情報など同社のすべてのデータへアクセスできるほか、中国共産党がバイトダンスに特別部隊を設置し、いかに「共産党の核心的価値」を推進するかを指導していたと証言した。
また、バイトダンスはインスタグラムやスナップチャットなどのプラットフォームから許可を得ることなくコンテンツを盗んでいたと主張する。
どのような仕組みか。競合他社のウェブサイトから許可なくコンテンツを自動抽出するソフトを開発。TikTokなど自社サイトに再投稿してエンゲージメントを増やしていたという。「いいね!」「フォロー」を偽装する偽アカウントを製造する幹部もいた、と余氏は指摘する。
中国版TikTok「抖音」については、バイトダンスのエンジニアが同アプリのアルゴリズムを操作し、日本への憎悪を表現するコンテンツを促進し、香港の抗議活動を支持するコンテンツを取り下げているのを目撃したという。こうした情報操作によって、中国共産党の「プロパガンダツール」としての役割を担っていたと述べた。
余氏は、懲罰的損害賠償や逸失利益の賠償金などを求めている。
エポックタイムズはバイトダンスにコメントを求めたが、本記事掲載までに返答を得られなかった。
米国は、中国への情報流出や国家安全保障上の懸念からTikTokへの監視の目を強めており、同アプリの全国的な禁止法案が提出されている。いっぽう、バイトダンスはデータ流出を否定しユーザーデータは中国国外のサーバーに保管していると主張している。
TikTokを取り締まる法整備
チャック・シューマー上院院内総務は3日、マーク・ワーナー議員らが3月に提出した、TikTokやその他の外国製アプリを制限する超党派法案を上院で審議すると明らかにしました。
この法案では、TikTokを含む外国製アプリが関与するさまざまな情報通信技術取引から生じるリスクの特定、抑止、禁止、調査を可能とする新しい権限が商務省に付与されることになる。
下院では3月、マッカーシー議長がTikTokの脅威に対処するため、議会は法律の制定を進めると表明した。
4月にはモンタナ州議会が、TikTokの同州での運用を禁止する法案を可決した。
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