情勢が緊迫化するアフリカ東部・スーダンに滞在する邦人を退避させるため、航空自衛隊のC-130輸送機1機が21日午後3時頃、愛知県の小牧基地からジブチに向けて飛び立った。現地では準軍事組織のRSF(即応支援部隊)が停戦に合意したと発表したものの、安全の確保は困難であり、自衛隊部隊はジブチで待機するよう命じられている。
林外相は21日の会見で、軍事衝突が続く首都ハルツームでは市街戦が行われており、「外出が一切できず、大部分の地域で停電、そして断水が続いている」と述べた。停戦期間中にも関わらず銃声が聞こえる状況で、「停戦が守られていない状況と承知」しているという。死者は330人に上っている。
防衛省・自衛隊は海賊対策の拠点があるジブチ共和国に航空自衛隊の輸送機を飛行させ、待機するよう命じた。約370人の隊員から構成される「在スーダン共和国邦人輸送統合任務部隊」を編成し、すでに出発したC-130輸送機1機に加え、C2輸送機とKC767空中給油・輸送機それぞれ1機を派遣する計画。
現地情勢は「引き続き予断を許さない状況」であり、陸上輸送の可能性も指摘されている。浜田防衛相は21日の会見で、「現地の状況を踏まえて、陸上輸送の可能性も含めて、幅を持って検討している」と述べた。ジブチに駐屯する海賊対処部隊も、必要に応じ対応できるよう万全の態勢を取っている。
在留邦人は60人とされる。外務省は現地大使館を通じて連絡をとっており、現時点で邦人の生命・身体に影響が及んでいるとの情報はない。現地住民は生活インフラの寸断と食糧不足、医療崩壊に脅かされている。
NHKによると、準軍事組織RSFはイスラム教の断食月「ラマダン」明けの祝日に合わせて、72時間の停戦に合意したと発表したものの、スーダン軍は停戦について言及していない。国連のグテーレス事務総長は20日、「市民が脱出できるよう、少なくとも3日間の停戦を求める」と述べた。
ロイター通信によると、RSFは10万人規模の兵力を有しており、航空戦力などでは軍を下回ると専門家は指摘している。
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