米、ウクライナにクラスター弾供与へ=ホワイトハウス

2023/07/08 更新: 2023/07/08

[ワシントン 7日 ロイター] – 米国は7日、軍事支援パッケージの一部としてウクライナに殺傷力の高いクラスター弾を供与すると発表した。クラスター弾は100カ国以上で使用などが禁止されているが、ウクライナはロシア軍に「並外れた精神的・感情的影響」を与えると述べた。

米国防総省の発表に先立ち、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)がウクライナへのクラスター弾供与を説明。「われわれはクラスター弾によって不発弾による民間人への被害が生まれる恐れがあると認識している。だからこそ可能な限り長期にわたり決定を先延ばしにしてきた」とした上で、「しかし、ウクライナに十分な大砲がないために、ロシア軍や戦車がウクライナの領土に入り込み、領土を奪い、ウクライナ市民を服従させるようなことになれば、民間人に被害が及ぶ危険性も大きい」とした。

バイデン大統領はCNNのインタビューに対し、ウクライナにクラスター弾を供与する決断は厳しいものだったとしながらも、ウクライナ軍の反転攻勢がロシア軍に阻まれないようにするために、クラスター弾の供与が必要だと信じていると述べた。

クラスター弾は通常、1発の爆弾から多数の子爆弾をまき散らすため、広い範囲で無差別に殺傷する可能性があり、民間人を危険にさらす。また、不発弾は紛争終結後も数十年にわたり人々を脅かす。国際条約で製造や使用、保有が禁止され、約120カ国で採択されているが、米、ロシア、ウクライナは署名してない。

サリバン氏は、ウクライナは民間人へのリスクを最小限にするために「非常に慎重な方法でこれらを使用するという書面による保証を提供している」とした。

クラスター弾を巡る米国の決定については人権団体が反対しているほか、国連のグテレス事務総長もクラスター弾の継続的な使用に反対する姿勢を示した。ドイツのベーアボック外相も7日、ドイツはウクライナへのクラスター弾供与に反対すると述べた。

一方、ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は7日、「ウクライナへの砲弾の追加供与は占拠地の解放加速に非常に大きく貢献する」と指摘。「特にクラスター弾については、すでに戦意を喪失しているロシア軍に対し、並外れた精神的・感情的影響を与えることができるのは間違いない」と述べた。

Reuters
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