元米プロバスケットボール(NBA)選手のエネス・カンター・フリーダム氏は今月中旬に行われた公聴会で、中国共産党による人権問題に反対する声を上げたことで失った収入は約5千万ドル(約70億円)の上ると明らかにした。
フリーダム氏は昨年NBAから解雇されており、中国共産党による影響を受けた可能性が高い。
フリーダム氏は中国問題に関する米連邦議会・行政府委員会(CECC)の公聴会で「マネージャーによれば、私はNBAとの契約やエンドースメント契約を含めると約5千万ドルを失った」と発言した。
「正しいことをしたとわかっているので、夜は安心して眠れる。私の唯一の疑問は、世界最大の独裁国家である中国が、どうして100%米国製企業を支配し、米国人を解雇できるのかということだ」
「企業の共犯: 中国人権弾圧への加担」と題されたこの公聴会では、ジェノサイドや臓器狩り、強制労働など中国で行われている人権侵害や、企業やビジネスがしばしばこうした人権侵害に加担する危険性をはらんでいる問題が取り上げられた。
「NBAの夢を叶えるために、一生懸命働いてきた」とフリーダム氏。「しかし、正しいことのために立ち上がりたかったので、私のキャリアは非常に残酷な形で終わった」
カンター氏はSNSやインタビューを通して中国共産党の非人道性を積極的に訴え続けてきた。共産党政権に虐げられているウイグル人やチベット人、台湾などの民主派を支持するメッセージや、「中国での臓器狩りを停止せよ(Stop Organ Harvesting in China)」といったスローガンをバスケットボールシューズに描いて注目を集めた。
またカンター氏は、公聴会で経済的な報復を恐れて怯むわけにはいかないとも強調。「自由はタダではない。ある程度の犠牲が伴う。しかし、お金やビジネスを失ったとしても、誰かが世界中の罪のない人々のために立ち上がらなければない」と述べた。
中国本土ではウイグル人やチベット人などが恣意的に拘束され、不妊手術や強制労働が行われている。中国共産党は24年にわたり、中国伝統気功の法輪功学習者に対しても大規模な弾圧を行っており、2019年にイギリスで開かれた民衆法廷は「中国政権は長年にわたり、相当な規模で良心の囚人から生きたまま臓器を摘出する臓器狩りを行っている」と結論づけた。
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