最近、中国における臓器収奪に関与した元中国軍病院の研修医が、実名でその経験を語った。これについて、倫理団体代表は、他の中国の医師たちも「彼に続き勇気を持って告白をしてほしい」と促した。
瀋陽の陸軍病院に勤務していた鄭治氏は最近、自身が90年代に目にした「臓器狩り」の詳細について明かした。病院が脈のある人間から臓器を摘出していることや、武漢市公安局近くに閉じ込められた法輪功学習者の存在などについて語った。
鄭治氏は中国で臓器狩りに関わった医療従事者に向けて、証拠を残しつつ、その経験を公にするよう呼びかけている。
国際的な医療倫理団体「強制臓器摘出に反対する医師の会」創設者兼代表のトルステン・トレイ医師は、鄭治氏の告白を受け「沈黙は同意に等しい」とし、さらなる告白が必要だとエポックタイムズに述べた。
人権団体らの報告によると、囚人から本人の意思にかかわらず臓器を強制的に摘出し移植用に利用するといった中国共産党による医療犯罪「臓器狩り」は、いまなお続いている。
トレイ氏は、勇気ある告白にもかかわらず国際的な反応は乏しく、臓器狩り問題への対処が進んでいないと憤りを口にした。「すでに(臓器収奪の国際的な報告から)20年以上が経過した。中国は、21世紀にみられるどんな犯罪とも比較できない、人道に反する罪を犯し続けている」
「鄭治氏が公にしたことは筆舌に尽くし難い恐怖だ。この恐ろしい中国臓器収奪に対して国際医療界が行動を起こしていないことに、どんな言い訳が通用するというのか。世界医師会(WMA)は、世界保健機関(WHO)は何をしているのか」
さらに、鄭治氏の告白から中国では臓器収奪が90年代から盛んに行われていたことを示唆するとした。中国における臓器狩りはカナダのデービット・マタス人権弁護士とデービッド・キルガー元国務相の率いる調査によって、06年に国際的に公にされた。
マタス氏も以前より、中国では死刑囚の臓器を使って臓器取引が存在したと著書で述べている。病院は資金を求め、さらに“需要”の高まりに応じて、法輪功学習者を“供給”にあてたと分析する。「彼らは迫害され、人権を奪われた。人数も多く身元不明という無防備な立場にあった」「摘出された臓器は外国人に売られ、中国にとっては数十億ドル規模のビジネスになった」
現在、イスラエル、台湾、イタリア、スペインがすでに臓器移植ツーリズムを禁止しており、欧州議会や米国議会、複数の地方機関も、中国共産党政権の臓器狩りを非難している。臓器狩りに関与したものに刑罰を下す法案が今年、米国や台湾で通過しており、法整備に向けた動きがみられる。
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