移民殺到で混乱の米NY州、住民8割が移民問題は「深刻」 知事への不満も=世論調査

2023/08/24 更新: 2023/09/06

米国の大学が22日に発表した新たな世論調査によると、米東部ニューヨーク州の有権者に流入し続ける不法移民について、州内の8割が「深刻な問題」として考えており、半数以上が「流入数を減速させるべき」と答えている。

米シエナ大学の最新の世論調査によると、ニューヨーク州での移民問題について、有権者8割が「深刻」、そのうち5割が「非常に深刻」と考えていることが分かった。

また過去20年間、移民流入は同州にとって「利益」ではなく「負担」であったと回答したのが5割弱である。

約6割が「新規移民を受け入れ、ニューヨークに溶け込ませようとするのではなく、移民の流れをスローダウンさせるべき」だと考えていると答えた。

シエナ大学の世論調査担当広報のスティーブ・グリーンバーグ氏は「民主党や共和党、無党派層、州の北部や南部を問わず、大多数のニューヨーカーは、最近のニューヨークへの移民流入が州にとって深刻な問題であると答えている」 と指摘している。

そのうえで、「 民主党議員の多くは、過去20年間にわたるニューヨーク州での移民の定住化を『恩恵』だと考えているが、無党派層の大半と共和党議員の3分の2は、移民の定住化は同州にとって『重荷』だと考えている」と述べた。

ニューヨーク市は、不法移民に対して寛容な政策を取っているいわゆる「サンクチュアリシティー(聖域都市)」の一つ。聖域都市は、ニューヨークやロサンゼルスをはじめ、州や市、郡など全米に約300あるとされる。

聖域都市では、不法移民の強制送還を担う連邦政府機関の移民・税関捜査局(ICE)の協力要請を地元警察は拒否することができる。

ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長(民主党)によると、昨年春以降、ニューヨークに流入した難民申請者は約10万人で、そのうちの5万7300人が同市が提供する住宅やシェルターに滞在しているという。

アダムズ市長は9日、移民への支援に掛かる費用について「危機的な状況」として連邦政府に財政支援を要請した。

世論調査で、移民をニューヨーク市の仮設住宅から、州内の恒久住宅に移すことを支持するかどうか質問したところ、ニューヨーク市民の3分の2近くが支持するものの、郊外や州北部の住民の間では反対意見が多かった。

回答者の6割が「バイデン氏は移民政策で失敗している」と答え、ニューヨーク市民の半数(51%)が、難民問題に対するニューヨーク州のキャシー・ホウクル知事の対応に不満を示し、5割弱の有権者がアダムズ市長の対応にも不満を示した。

グリーンバーグ氏によると、ニューヨーク州ではバイデン大統領への支持が初めて落ち込んだという。アダムズ市長への支持は世論調査5回連続で落ち込んだ。

ホウクル知事に好意的な見方を示した有権者は4割で、彼女がアンドリュー・クオモ前知事の後任として知事に就任して以来、シエナ大学の世論調査で最低の支持率となった。

世論調査は8月13〜16日にかけて、ニューヨーク州の有権者803人を対象に実施された。

施萍
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