週末にインド首都ニューデリーで開催されたG20サミットにおいて、中国共産党(中共)総書記・習近平氏の欠席は、国際舞台において大きな注目を集めた。
9月5日には多数の国際メディアが、その欠席理由およびそれが国際政治に及ぼす影響について各種評論と分析を展開した。
問題とされるのは、習近平氏の欠席が国際的要因に起因するのか、それとも国内的要因によるものなのかという点である。北戴河会議の後、中共中央委員会がどのような困難に直面しているかという問題も視野に入る。
習近平のG20欠席
米国在住の中国民主党・中央全体会議・執行長・陳闖氏は、新唐人TVの『精英論壇』において、習氏は国際会議で目立つことを好む性格であり、今回のG20欠席には主に二つの理由があると語った。一つ目は主催国であるインドとの関係性、二つ目は米国に関連する事象である。
習氏は、南アフリカでのBRICSサミットにおいては南アフリカの大統領に対しては熱心であったものの、インドのモディ首相に対しては冷淡であった。
また新たな中国地図を公表し、インドとの領土問題で争っている地域を中国に含めたため、インドから強い抗議を受けた。それゆえに、習氏はインドのモディ首相に対して面目を与えたりしないと考えているのである。
次に、米国に関する要素としては、中国の国家安全部が9月4日にSNSで米国に対する記事を発表し、「バリ島からサンフランシスコまで」を実現するためには米国が真剣な意志を示すべきだとした。2022年11月のバリ島でのG20サミットでは、習近平氏とバイデン大統領が直接会談を行い、今後も会談する予定であるとされている。
中国語「大紀元時報」の編集長、郭君氏によれば、中共のリーダーシップは自尊心を極端に重視しており、これは内部で権威を確立する過程としても、政治的な必要性としても現れている。
習近平氏がG20サミットに欠席した理由については、健康状態の悪化、政治的な内部不安、米国との不遇な交渉状況、そしてインドに対する戦略的な態度といった多角的な要素が考えられる。これらの要素がいかなる影響をもたらすのか、引き続き注視が必要である。
その要因とはインドが習近平氏に対して適切な面目を与えていない点にある。今年においても習近平氏が海外訪問を果たすごとに、彼を歓迎する大々的な式典が催されている。ロシアは勿論、インドネシアや南アフリカでも同様である。その地での彼の訪問は、単に会議参加に留まらず、国賓としての格式の高い接遇がなされている。
例として、習近平氏が先日、南アフリカを訪れた際には、他国の指導者が会議参加に留まる中、彼は国賓訪問として、赤い絨毯と軍事パレードで歓迎された。
その一方で、中共は今回のサミットに際して、外交経路を通じてインドに国賓訪問の招待状の発行を求めたものの、インドはこれに応じなかったとされる。
率直に言えば、習氏が今回インドを訪れた場合、多数の複雑な問題に巻き込まれる可能性が高い。その理由は、中国が最近新しい地図を出版し、これにインドが不満を持っている点にある。
モディ首相もまた、国内で反対派から狙われており、習近平氏に過度な歓迎を施すか、習氏に抗議するインド国民に対して強硬な態度を取れば、自身の支持率に悪影響が及ぶ可能性がある。北京もまた、そのようなリスクを冒す意志がないと推察される。
テレビのプロデューサー、李軍氏によれば、ニューヨーク・タイムズが報じた中国経済の問題は、習近平氏がG20サミットを欠席した主要な理由ではないとされる。習氏が最も関心を寄せているのは、彼自身の安全であると推測される。
最近、習近平氏が多くの場で姿を見せない事例が報告されている。特に、北戴河会議の後、何日も姿を現さなかったり、BRICSサミットでも重要な時点で不在であった。
したがって、習近平氏は、自分に対して絶対の忠誠を誓わない者たちが何らかの行動を起こす可能性に大きな懸念を抱いていると考えられる。
中共内の状況は現在、非常に不安定で不忠誠であると言われ、この状態が続けば、習近平氏が国際イベントに参加する機会は減少し、国内での官員との面会でも、プーチンが用いるような長いテーブルが使用される可能性が高い。
習近平の不安
大紀元の主筆、石山氏の言によれば、習近平氏は2019年には年間で十数回の海外訪問を果たしていたが、昨年から今日に至るまでその数はわずか四度に留まっている。
ニューヨークタイムズが専門家の見解を引用して報道した限りでは、習近平氏はG20など米国が主導する大型会合よりも、中国が発言権を有する小規模なサミットへの参加を好むとされ、G20などの大舞台では目立つ機会が少ないと解釈されている。
石山氏は、東アジア諸国における政治文化が権力と地位の階層を重視し、それぞれのポジションが精緻に調整されることを指摘している。例えば、習近平氏がインドを訪れる際、彼に対する尊重が不足する可能性があると警鐘を鳴らしている。一方で、習近平氏の海外訪問の控えめな姿勢は、中国国内の安全保障問題が影響しているとも論じられている。
郭君氏は、特に権力が不安定な時期に個人独裁体制の首脳が国外に出ることは極めて危険であると述べた。例として、前ソ連のフルシチョフが海外に出た際の突然の解任や、毛沢東が1950年代中期以降に海外に出なかった事例を挙げている。
個人独裁体制において首脳が最も恐れるのは、外敵や農民の反乱よりも、後継者、親族、側近からの脅威である。毛沢東にとっても、副主席の劉少奇や林彪が大きな脅威であったように、古代の皇帝においても子供や配偶者、側近が最も危険であった。
外遊するに際しては、一時的な国内代理を任命する必要があるが、これは独裁者にとって大きな危険を孕んでいる。何らかの事態が発生した場合、代理人がクーデターを引き起こす可能性も否定できない。
特に経済の不振と厳しい外部環境、そして不安定な権力基盤が重なる状況下では、海外訪問は極めて危険である。また暗殺が最後の手段となる可能性もあるため、このような状況は至極危険である。例えば、林彪は毛沢東に対して暗殺を試みたことがある。
習近平氏に対しても、飛行機をミサイルで撃つという手法が最も簡便とされている。現状、習氏は海外飛行よりも国内、あるいは国境近くでの飛行が危険だと考えている。
習氏がBRICS会議後、南アフリカから帰国した際に北京ではなく新疆に着陸した理由も、ミサイル攻撃のリスクを低減し、速やかに権力を回収するためと解釈されている。
習近平が敵対勢力を作った理由
元中国人民解放軍・海軍司令部中校(中佐)である姚誠氏は、習近平氏が南アフリカから帰国した際に新疆に赴いた理由について、多くの人々が混乱していると指摘する。
その背景には、大洪水によって軍の第82部隊の戦車部隊が河北で壊滅的打撃を受け、海軍後勤部隊の一部が涿州市および北京市近郊の良鄉地域で同様に壊滅したという事態が存在する。
軍隊が洪水発生時に動かなかったのは、その内部に不満が渦巻いていたからで、習氏は帰国後、この問題に対処するため直接北京には戻らず、軍隊を安定させる措置を取った。
現在、各軍種および各戦区は不安と動揺に包まれている。習近平氏が権力を握った後、特に2017年の軍制度改革以後、軍隊に巡視制度を導入した。
この制度により、高級幹部や部隊に対して調査を行い、下位の人々からの意見を直接収集する。中央巡視グループの到来に際し、告発者も出るという状況だ。
習近平氏が軍隊内で積極的に推進している主要な行動は、政治委員の配置にある。北部戦区の政治委員を中部戦区に移動させるなど、いくつかの戦区、軍区、軍種の政治委員を後方に移動している。
権力の掌握が主要な目的であり、多くの逮捕はまだ行われていないものの、巡視と調査が進行中であり、近い将来に逮捕が行われる可能性が高い。
ロケット軍においても、現在11人が特別調査と拘束の対象となっている。新任の副司令官には、かつて陸軍副司令官であった畢毅氏と、中部戦区副司令官兼参謀長である朱曉松氏が任命されている。
全ロケット軍の高級幹部は外部から招聘された者であり、ミサイルに関する専門知識を有していない。情報漏洩の問題が最初に明らかになったのは、これに起因している。情報が漏れたのは一人ではなく、もし一人が情報を漏らしていたとしても、ロケット軍全体を逮捕する必要はない。
習近平氏は、ロケット軍が自身の戦争命令に対抗している事実に気づいた。現在、習氏は軍が戦争を望んでいない、または戦争を恐れていると認識している。それゆえに、彼は軍に戦争を強いている。その手法とは何だろうか。そこで新たな地図を創造し、国際的に敵対者を生み出しているのである。
この状況は、かつての慈禧太后が「多数の国と戦争を行う」と述べた事例と類似している。従って、軍隊は現在、極めて反感を抱いている。例えば、海軍の一部の者が姚氏に語ったところによれば、ギョウザのようにたくさんの艦船は建造されているが、その兵力の半分は依然として沿岸防衛に集中している。
習近平氏は現在、南シナ海のみならず、台湾海峡、東シナ海、黄海、さらには日本海で敵対者を作っている。これは戦争を行うには不可能である。習氏が軍隊に戦争を強いている理由は、彼自身がこの戦争を必要としているからである。つまり、国内の注目をそらすとともに、軍権を掌握するために戦争を利用しているのである。
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