バイデン氏弾劾か 下院議長「証拠が導く方向に進む」

2023/09/14 更新: 2023/09/14

米国のケビン・マッカーシー下院議長は9月12日、下院委員会にバイデン大統領に対する正式な弾劾調査の着手を指示した。また「我々は証拠が導く方向に進む」と表明した。

マッカーシー議長は、バイデン大統領の次男であるハンター・バイデン氏の海外事業関連不正疑惑を究明するため、下院監督委員会、歳入委員会、司法委員会に弾劾調査を指示したと明らかにした。

ハンター氏は、バイデン氏が副大統領在任中だった2014年、ウクライナエネルギー企業ブリスマ・ホールディングスの理事に選任され、以後5年間、毎月8万ドル(約1千40万円)以上の高い報酬を受けたとされている。

現在、ハンター氏は脱税疑惑などで調査を受けている。しかし、2020年の米国大統領選挙前に浮上した疑惑に対する調査が行われるまで数年かかり、この過程で何度も「調査中止」の外圧があったという内部告発も提起され、物議を醸している。

ホワイトハウスのサムズ報道官は、共和党は不正行為の証拠を何も掴でいないと指摘し、X(旧ツイッター)に「極端な政治は最悪だ」と投稿した。

トランプ氏の弾劾に対しては、下院ではマッカーシー氏を含む多くの共和党員が怒りを隠せないでいる。

一部の強硬派の共和党員の中には、マッカーシー氏がバイデン氏の弾劾を進めなければ、下院議長解任を目指すと語る議員もいる。

ハンター氏の元ビジネスパートナー、デボン・アーチャー氏は7月31日、バイデン氏の副大統領時代に、ハンター氏が父親との結び付きを自分のビジネスブランドの一部として売り物にしていたと、米下院監視委員会の公聴会で証言した。

共和党の議員からは、バイデン氏に対する弾劾訴追を進めなければ、マッカーシー氏の下院議長解任を目指すという声も上がり、マッカーシー下院議長への圧力が強まっていた。

民主党はバイデン氏への弾劾を、トランプ氏の追訴から国民の注意をそらす手段だと主張している。

バイデン氏を弾劾する動きが成功する可能性は低いと考えられている。下院共和党は222対212の僅差でリードしているが、上院は民主党が支配しているため、弾劾案は上院でほぼ間違いなく否決されるだろう。

世論調査によると、多くの米国人はハンター氏が特別待遇を受けていると考えている。 

6月のロイター/イプソスの世論調査によると、調査対象者の半数が、ハンター氏は検察から特別待遇を受けていると答えた。 

検察は、ハンター氏が税法上の罪を認め、銃に関する有罪判決を回避できるような司法取引を行なった。

しかしロイター/イプソスが8月に実施した別の世論調査では、司法取引に合意した後、父親が大統領を務めることとハンター氏の法的問題は無関係だと思っているのは回答者の49%だった。

林燕
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