国連は現在、気候変動の結果であると認識された損害について、国家に対して法的措置をとるための「子供の権利」らしきものを認識している。
先月28日、国連・子供の権利委員会は、20ページに及ぶガイダンス「児童の権利に関する条約── 概評26号」を発表した。
同文書を発表した理由は、「気候の緊急事態、生物多様性の崩壊、汚染の蔓延が子供たちに対する世界的な脅威となっており、子供たちがこの危機に注意を向けようと努力している」からだと主張した。
また、「子供の権利を実現するプロセスは、その結果と同じくらい重要である」とした上で、「気候危機などによる環境の悪化は、特に恵まれない境遇にいたり、気候変動の影響を大きく被っている地域に住んでいたりする子供たちの権利享受に悪影響を及ぼしている」とした。
さらに、「締約国は、環境に関する条約に基づく当面の義務を超えて、現在の作為または不作為の結果として生じる予見可能な環境関連の脅威に対して、その影響の全容が明らかになるのは数年あるいは数十年先かもしれないが、責任を負う」と述べた。
同文書は、「子供の権利享受に対して気候変動が及ぼす悪影響」と呼ばれるものに焦点を当てている。その目的は、権利についての理解を示し、引き起こされた被害に対処するための立法上および行政上の措置に関する「権威あるガイダンス」を提供しながら、条約に対する国家の義務を明確にすることだという。
文書はまた、「子供の権利に関する条約」の第2条を引き合いに出し、国家が「環境差別」から子供を保護する義務を負うと宣言している。
「大多数の子供、とりわけ特定の子供からなる集団は、複数の交錯する差別を抱えることがあり、権利享受に対する高い障壁に直面している」
コロンビア大学の気候変動関連法の研究機関「サビンセンター(Sabin Center)」のマイケル・ジェラード所長は、ニューヨーク・タイムズ紙に対して、「この条約の下で強力な声明が発表されれば、気候変動に関する国際人権法という拡大を続ける体系に、新たなレンガを追加することになるだろう」と語った。
裁判官が活動家を支持、モンタナ州で
2020年、16人の若い気候変動活動家らが、「いくつかの州の化石燃料開発が、クリーンな環境で生活する権利を侵害した」と主張し、州機関を訴えていた件で、先月、モンタナ州の裁判官が彼らの主張を支持した。
国内初の気候変動に関する訴訟として注目が集まるなか、5~22歳の活動家らは、「気候変動が自分たちの心身の健康に悪影響を及ぼした」と述べた。
モンタナ州地方裁判所のキャシー・シーリー判事は、モンタナ州の温室効果ガス排出が、同州に気候変動をもたらし、原告に危害と傷害を引き起こす実質的な要因となったことが証明されたとの判決を下した。
気候変動、自由、私有財産
シーリー判事は、自身の判決が州憲法に基づいていることを判決文の中で述べている。以下の通りだ。
「すべての人は、生まれながらにして自由であり、侵すことのできない権利を有している。その権利には、クリーンで健康的な環境で生活する権利、基本的な生活必需品を追求する権利、生活と自由を享受・擁護する権利、財産を獲得・所有・保護する権利、あらゆる合法的な方法で安全・健康・幸福を追求する権利などが含まれる」
判決文では、「健康的な環境」という用語の後に省略記号を付けて文章を終えていた。
これに関して、「気候変動イデオロギーは、基本的な生活必需品の追求、自由の擁護、私有財産の所有といった考え方とは共存しないからだ」と主張する人もいる。
情報アナリストで調査ジャーナリストのブライアン・オシェア氏は以前、世界保健機関(WHO)が推し進める「ワンヘルス」政策について、エポックタイムズにこう語っている。
「これらの政策は、人、動物、生態系の健全で持続的なバランスを保ち最適化を目指すためのもので、統合的で統一的なアプローチを目指している」
オシェア氏によると、最終的には、中国共産党が実施した土地収奪に倣い、農家がどのように農業を営み、個人がどれだけの土地を取得できるかを制限する政策になるという。
また、情報を統制し、決められたナラティブに沿っていない概念については「誤情報」のラベル付けを行うという。
「国家の主権を尊重することなく、畜産、農業、人々の居住場所や生活方法、どこでビジネスを行うかといった国内問題を管理することを目的としている。まるで土地収用みたいだ」
新たな環境問題は起こりうる
米シンクタンク「安全保障政策センター」創設者兼会長のフランク・ガフニー氏によれば、これらのパンデミック条約によって、いかなる出来事も、WHOが危機と見なせば、「公衆衛生上の緊急事態」を宣言できるという。
「気候変動、銃暴力、中絶や『トランスジェンダーを肯定するケア』へのアクセスの不十分さなど、どんなことでも、WHOテドロス事務局長の判断次第で公衆衛生上の緊急事態になり得る。選挙で選ばれたわけでもない国外の組織が、公共政策に大きな影響を与えるようなことをいくらでもすることができる」
この条約の文書では、気候変動に焦点を当てているが、「その適用は特定の環境問題に限定されるはずがない」とガフニー氏は指摘している。
「将来、例えば、技術や経済の発展や社会の変化と連動して、新たな環境問題が発生するだろう」
(翻訳・大室誠)
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