Max Hunder
[ドネツク州(ウクライナ) 9日 ロイター] – ウクライナ軍の攻撃用小型無人機(ドローン)操縦士の間で、今までロシアに対して築いてきた優位が覆されつつあるとの懸念が広がっている。ロシア側が資金と資源を無人機に投入し、戦場に大量配備し始めたからだ。
ウクライナが機動性の高い「FPV(一人称視点)無人機」をいち早く活用したことは、ロシアの侵攻に対して最も大きな成功を収めた低コストの防衛戦略になった。
しかしロシアも次第に無人機の有効性を学び、活用範囲を拡大している。
両国ともFPV無人機に搭載したカメラの映像を毎週のように公開。そこに映るのは数百ドルで製造されたこの無人機が、ずっと高額な敵の戦車やレーダーシステムを破壊する光景だ。
こうした中でドネツク州東部バフムト近くの戦場で活動するウクライナ第80独立空中強襲旅団所属の無人機操縦士らは、ロシアがより組織的な供給態勢と多くの予算を駆使して主導権を握り出したと明かした。
「コムラード」と名乗る34歳の操縦士は「ロシアの無人機は昼も夜もずっと飛び回っている。彼らが偵察や監視、攻撃用の無人機を量産化していることが分かる」と語った。
バフムト近郊の戦場だけでロシアとウクライナのFPV無人機戦力の全体的な比較は難しい。ただこの操縦士の実感としては、前線における「戦力比」はロシアがウクライナのほぼ2倍だという。
同旅団のベテラン下士官は、狙うべき敵の数に対して自分たちの保有する無人機が絶対的に不足していると嘆いた。
ある専門家は、ロシアが国内防衛産業の設備増強に加え、各種ボランティア団体の生産も通じてFPV無人機の大幅な増産に動いていると分析。「今年は無人機を戦場に大量投入するというロシアの努力にとって重要な節目だったし、来年はもっと取り組みが強化されるはずだ」と述べた。
一方ウクライナ側は、より航続距離が長く大型の偵察用ないし攻撃用無人機の生産には政府が直接予算を拠出しているが、小型無人機の大半は民間からの買い上げと個人の寄贈に頼っている。
政府は現在、一部のFPV無人機の供給に乗り出したものの、第80独立空中強襲旅団の操縦士らの話では、民間頼みという構図はまだ続いているという。
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