中国の不動産バブル崩壊のリスクがさらに高まっている。日本の研究機関「経済研究センター」は18日、中国は2027年に経済危機に陥り、その後はGDP2%成長の低迷期に突入と予想した。同日には、国有資本が支える深センの不動産開発「華南城」がキャッシュフローの逼迫により債務不履行に直面していることが明らかになり、バブル経済の危うさは隠せないものとなっている。
経済研究センターは、2035年までのアジア太平洋18カ国と地域の経済成長見通しに関する研究を発表した。それによれば、中国は2027年に高水準の債務が金融不安を引き起こし、金融危機が発生すると仮定した。政府は債務返済を優先し、インフラ投資を削減。これにより人民元が1元当たり約9ドルにまで下落し、中国経済が長期にわたって低成長に陥ると予測した。
こうした中国経済の滑落が他の17カ国と地域の経済成長にも影響を及ぼすという。また、研究では、中国が金融危機に陥らなくても、2029年までに経済成長率は徐々に低下するとした。
この報告発表と同日に、深刻な中国の経済状況を示すニュースが流れた。国有資本を背景に持つ深センの不動産開発会社、華南城は、中国の不動産業界の環境悪化の影響を受け、資金とキャッシュフローに重大な問題が生じたと発表したのだ。同社は20日に債券の期限を延長させ、一時的に債務不履行を回避させたという。
「日本の分析は楽観的すぎる」中国経済はもっと危ない
経済学者の司令氏は、日本の学者たちの中国不動産問題に対する評価は楽観的すぎると指摘、中国経済はさらに悪化しているとみている。不動産バブルははじけ始めており、国有資本を持つ華南城でさえ資金の流れが逼迫していることが「最たる証拠だ」とRFAに語った。
「中国政府の財政赤字の状況の悪化度は、これらの日本の学者たちの想像をはるかに超えている。いま最も危険なのは、中国で最も裕福な資金提供者である国有資産委員会自身の資金プールが、もはや泥舟のような状態であることだ」
「つまり、中国で最も近代化された深センの不動産企業が、すでに財政危機に陥っているのだ。中国の不動産市場のバブルが加速して崩壊するという予想は、すでに大きな騒ぎとなっている」
人民元の切り下げ、免れられない
米サウスカロライナ大学エイケンビジネススクールの謝田教授も司令氏同様に、日本の研究結果は楽観的だと考えている。謝田氏は、現在の中国政府、企業、個人の総借金額は、GDPの300%に達すると推定し、不動産の爆発的な一度引き起こされれば大きな危機を迎えることになるだろうと述べた。
「中国共産党は、利息の引き下げや頭金の低減、大学生や退職者などに住宅購入を促すなど、あらゆる方法を用いているが、荒唐無稽だ。何の改善の兆しもない。さらに住宅販売が減少し、各レベルの政府の収入が減少すると、中国共産党はどうやって返済するのか」
「唯一の方法は通貨を印刷することであり、最終的には人民元が1対20、あるいは30まで切り下げられる可能性がある。これにより中国の一般市民の資産が縮小することになるだろう」
公式データは水増し
米国在住の経済学者、程暁農氏は、中国政府が公表する経済データと実際の状況には相違があり、外国の学者が中国経済の最も真実かつ深層の問題を把握するのは難しいと述べた。不動産と債務不履行が引き起こす問題が政権の安定性に影響を与えるため、中国政府はデータを提供せず、バブルの崩壊を認めないだろうと語っている。
「金融システムは全て国有銀行で成り立っており、経済が崩壊すると政権が崩壊するだろう。このため中国共産党は失敗を認めず、最後まで抵抗する。借金が返済できなければ返さないし、一般市民の預金も引き出させない。実際、どんな状況になるか予測することは不可能だ」
程暁農氏は、中国が今回直面している金融危機は1996年のものとは異なり、前回は国有企業の閉鎖や世界貿易機関への加盟などの機会を利用して、中国経済を徐々に回復させることができたが、今回は政府が銀行を出納係のように扱い、すべての地方債務を銀行に集中させ、銀行の資金流動はかなり滞ると警告している。このほか、銀行業が破綻すれば中国経済が底なしの危機に陥る可能性があると分析した。
債務水準の高まりから、米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12月初旬、中国の信用格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」に変更すると発表した。
経済悪化の情報が表出しないよう、中国共産党当局は情報検閲を一層厳しくさせている。6月、失業率と株式市場に関する「否定的で有害な情報」を広めたとして、金融ライター3人のアカウントが凍結された。共産党支部も、経済情報を発信しないよう伝達している。
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