中国不動産業界の資金繰りは悪化している。デフォルト(債務不履行)を回避するため、社債権者に満期間近の債券のより高い金利での借り換え(ロールオーバー)を提案する企業が相次いだ。
2021年10月から現在まで、デフォルトは15件起きた。恒大、佳兆業、花様年など大手不動産会社でも発生している。
中国メディア「財新網」によると、21年12月以降、20社近くが海外債務の借り換えを模索している。
ムーディーズによると、21年10月~22年1月の間に満期を迎えた中国不動産会社のオフショア債が総額146億元(約2700億円)、そのうち、返済または借り換えできたのは65%にとどまった。
業界大手の正栄地産は2月21日、22年返済期限の債務を返せないとして、海外発行の債券5銘柄を対象に交換募集(エクスチェンジ・オファー)を行うと発表した。
不動産デベロッパーの銀城国際は2月25日、22年満期の1億6500万米ドル(約195億円)のシニア債のエクスチェンジ・オファーを行うと明らかにした。
財新網の報道は中国の業界専門家・黄立沖氏の見解として、「国際市場では、正式なデフォルトの前に債務のロールオーバー、または債務整理に動き出すのは極めて異例である」と伝えた。
黄氏は、債務の借り換えは債務不履行の言い訳に過ぎず、オフショア債権の投資家は借り換えを敬遠するファンドが多く、借り換えに応じず破産清算を求めてくる可能性が高いと見解を示した。
不動産会社の中国国外での資金調達は、よりハードルが高くなっている。 ムーディーズの曽啓賢・副総裁は、不動産企業は今後、国外での債券発行が難しくなると推測する。
ムーディーズは、22年に不動産企業による借り換えが頻発すると予測した。
不動産バブルを抑えるため、中国当局は20年8月から「3つのレッドライン」という不動産業界への融資を制限する政策を施行した。業界の大多数の企業は高額の借り入れで成長し、巨額の負債を積み上げてきた。それに加えて景気の後退により市場が低迷し、売上に頼る資金調達はより難しくなっている。
22年に入ってから、不動産会社の売上と融資の減少傾向が続いている。
(翻訳編集・叶子静)
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