台湾・香港 中国で臓器移植 倫理問題再燃

「その臓器のドナーは誰?」 台湾人気歌手の中国での移植手術成功に疑問の声

2025/04/13 更新: 2025/04/13

台湾の人気歌手Tank(本名:呂建忠)氏が、中国浙江大学医学院附属第二医院で「心臓と肝臓の同時移植手術」を受け、術後の回復を経て7日に退院した。

中国国営メディアは、これを「アジア初の画期的な成功例」として大々的に報じたが、ネット上では手術そのものよりも、「提供された臓器の出どころ」に注目が集まっている。

報道によれば、この同時移植については、昨年11月に「重度の脳損傷により脳死した1人の提供者から臓器が提供された」とのことだが、具体的な提供者の情報は開示されていない。

Tank氏は心臓疾患の家系にあり、本人も2024年に病状が急速に悪化し、同年3月にはじめて同中国の病院を訪れた。9月には立てないほど症状が悪化していたが、11月に臓器提供の通知を受けて同時移植に踏み切ったという。

しかし、この急速な臓器の確保に対し、中国のSNSでは疑念の声が渦巻いている。

 

台湾の人気歌手Tank(本名:呂建忠)(黃宗茂/大紀元)

 

「誰の心臓と肝臓なのか?」

同病院は、過去にも臓器提供の出所が不透明で問題視され、法輪功学習者らから生きたまま、その臓器を摘出した疑いで、米ニューヨークに拠点をおくNGO団体「追査国際(WOIPFG)」の追跡ブラックリストにも載る病院だ。

さらに2017年、同病院の移植専門家・鄭樹森や厳盛らが発表した563例に及ぶ肝臓移植の論文の臓器の提供元が不透明だとして、国際的な肝臓病学専門雑誌「Liver International(リバー・インターナショナル)」から永久投稿禁止処分を受けている。

中国当局は2015年以降、死刑囚からの臓器使用を中止し、脳死など自発的提供者のみとしているが、国内外の専門家は、依然として多くの移植臓器の出所が不透明であり、実質的には生きた人間からの摘出、「生体臓器摘出」が続いているのではないかと懸念している。

 



「中国で移植受けてはならず」 議員らが中国臓器移植の実態に衝撃受ける 『国家の臓器』が東京で上映 

世界各国の映画祭で絶賛されながらも、中国共産党政権の影響力により配給や上映を阻まれた衝撃のドキュメンタリー映画『国家の臓器(State Organs)』が、3月26日に東京・文京区シビックホールで上映された。

 

昨年、台湾の有名な人権活動家でジャーナリストでもある楊憲宏氏は、台湾から数百人が臓器移植のために中国に渡ったことを明らかにした。

「中国共産党(中共)による臓器狩りは法輪功学習者が主なターゲットだったが、いまではウイグル族も対象となっている。そして、いま、中国本土の多くの親は子供がいなくなった時『臓器を取られて死んでいるのではないか』と本当に心配している。中共の幹部はみな臓器を交換することで延命を図ろうとしているが、本当に邪悪だ」と楊氏は糾弾した。

Tank氏の手術が成功し、命を取り留めたことは喜ばしいことだ。しかしその一方で、その裏に潜む中国の闇──透明性のない臓器移植システムに、改めて世界の目が向けられている。

 

イメージ画像、中国共産党による臓器狩りの犯罪を演じる法輪功学習者たち、2006年4月23日(PATRICK LIN/AFP via Getty Images)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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