情報筋によれば、バイデン米大統領は、新日本製鐵株式会社(略称:新日鉄)による米国の鉄鋼大手USスチールの買収計画に対して懸念を示す声明を発表する予定である。この報道を受け、USスチールの株価は、過去4年間で最も大きく下落した。
このニュースが流れた後、USスチールの株価は、一時的に約15%の下落を記録し、39.86ドル(約5890円)まで低下した。これは2020年6月以来の最大の日中下落率であった。
「フィナンシャル・タイムズ」が最初にこのニュースを報じた。情報筋によれば、バイデン大統領は、岸田文雄首相の4月18日の訪米前に、新日鉄が、USスチールを149億ドル(約2兆2024億円)で買収する計画に関する声明を発表するという。米国の官僚と弁護士が声明の草案を準備しており、ホワイトハウスは既にこの決定を日本政府に非公式に通知しているという。
数か月にわたり、ホワイトハウスはこの取引にどのように対応するかを議論してきた。この買収案はワシントンで二党間の政治家から反発を受け、多くの米国議員は、122年の歴史を持つ象徴的な米国企業を外資に売却することに反対しているという。
USスチールの本社はペンシルベニア州ピッツバーグにあり、ペンシルベニア州は今年の米大統領選挙の重要なスイングステートである。バイデン氏とトランプ氏はいずれも、ペンシルベニア州の労働組合の支持を獲得しようと努力していた。
ピッツバーグに本部を構える全米鉄鋼労働組合(USW)も、この買収に反対している。トランプ氏が再選された場合、この買収を阻止するだろうと予想されている。
新日鉄とUSスチールは、共同声明を通じて、「米政府によるこの取引の審査を歓迎する。客観的かつ包括的な審査を通じて、この取引が米国の雇用、競争力、経済及び国家安全に貢献することを証明できると確信している」と述べた。
また両社は、「公平かつ慎重な評価を通じて、この取引が承認されることを期待している」と付け加えた。
一方、ある情報源が「フィナンシャル・タイムズ」に伝えたところによると、岸田文雄首相の米国訪問が迫る中、「米日同盟の重要性を強調する米政府が、日本企業が米国の企業の所有権を持つことに不信感を抱くことは、『非常に困惑する』状況である」との見解を示した。
しかし、バイデン政権は、新日鉄と中国との関係を検討する一方で、政府が中国共産党に対してより強硬な姿勢をとる中、この問題がさらに複雑になる可能性があるとしている。
情報筋によれば、バイデン大統領がこの取引に関して声明を発する際には、それを直接阻止すべきだとはっきりと言うことはなく、むしろ「この取引を真剣に審査するべきだ」と述べる方向であるとされている。
先月、米鉄鋼労働組合のデイビッド・マッコール会長は、バイデン大統領から「個人的に保証を受けた。彼は私たちを支持している」と述べたという。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。