140億ドル投資計画でUSスチール強化 日本製鉄が長期成長戦略を始動

2025/11/05 更新: 2025/11/05

アメリカ鉄鋼会社(U.S. Steel)は11月4日、日本製鉄と共同で複数年にわたる成長計画を始動すると発表した。この計画では、アメリカ国内で約140億ドル(約2兆1500億円)の投資を目標としており、そのうち110億ドル(約1兆7千億円)を2028年末までに完了させる予定である。

ペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置くUSスチールは、この成長計画によって、運営効率の向上、日本製鉄による投資、そして両社間の技術共有などを通じて、最大で30億ドル(約4600億円)の価値を創出できる可能性があるとしている。

これは、日本の鉄鋼大手である日本製鉄が、今年初めに経営難に陥っていたUSスチールの買収を完了した後、同社を完全子会社として再生させるために講じた具体的な施策である。

USスチールの最高経営責任者(CEO)デイビッド・バリット氏は4日の声明で次のように述べた。

「世界最高水準の技術、卓越したエンジニアリング能力、そして世界で最も優れた鉄鋼業界の従業員の力をもって、私たちはアメリカの製鉄業の未来を築く偉大な道を歩んでいる」

また「われわれは、従業員、顧客、そして私たちが奉仕する地域社会すべてに利益をもたらす、より強く、より競争力のある企業を着実に築き上げている」と付け加えた。

USスチールによれば、日本製鉄が買収の過程で約束した投資によって、25億ドルのEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)の増加が見込まれるという。両社はすでに200以上の施策を策定しており、日本製鉄の技術的専門知識をUSスチールの運営体制に導入することで効率向上を図るとしている。これらの改善は、今後の事業成長の基盤を強化するものになると両社は強調している。

USスチールはまた、日本製鉄が約50人の専門家をアメリカ事業部門に派遣し、新計画の実行と長期的価値の創出に注力する「統合チーム」を編成したことを明らかにした。

この計画の目標には、全米で10万件を超える雇用の保護および創出、さらにUSスチールの事業拠点がある地域社会の発展強化も含まれている。

今年6月、日本製鉄はトランプ前大統領の支持を受け、最終的に141億ドル(約2兆1650億円)でUSスチールの買収を完了させた。この買収劇は18か月にわたり、2つのアメリカ政権をまたいで進行し、幾多の紆余曲折を経たが、日本製鉄がアメリカ政府と国家安全保障協定を締結したことで最終的に成立した。

この協定に基づき、日本製鉄は2028年末までにUSスチールへ110億ドルの投資を約束している。

李馨
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