トランプ氏が中国にホルムズ海峡護衛の軍艦派遣を求めた理由

2026/03/17 更新: 2026/03/17

インド港湾・海運・水路省の特別書記ラジェシュ・クマール・シンハ氏は、インド船籍で液化石油ガスを積載したタンカー2隻が3月14日にホルムズ海峡を通過し、現在インドへ向かって航行中であると確認した。

ホルムズ海峡はペルシャ湾からインド洋へ至る要衝であり、世界の石油輸送量の約5分の1が通過する。通常、1日平均約140隻の船舶が航行するが、米国とイスラエルによる対イラン攻撃と、それに対するイランの報復を受け、英国ロイズ船舶情報のデータによれば、3月1日から13日までの通過船舶は77隻にとどまった。

トランプ大統領は同日、自身のSNSで、影響を受ける各国が米国とともに軍艦を派遣し、ホルムズ海峡の安全確保に当たるべきだと訴え、中国、フランス、日本、韓国、英国を名指しした。

英国、フランス、日本、韓国はいずれも米国の伝統的な同盟国である一方、中国は米国が「戦略的競争相手」と位置付ける存在である。こうした中で中国にも参加を求めた理由について、台湾の国防安全研究院・戦略資源研究所の蘇紫雲所長は「トランプ氏は中国の姿勢を試す意図があり、中国がイランと関係が深い中でも護衛に参加すれば、中国自身も影響を受けていることを示すことになる」と指摘し、米政府はその対応を見て対中関係を調整する可能性があると分析した。

現状では、中国関連船舶はホルムズ海峡を比較的安全に通過できる数少ない存在とされ、イラン産原油の約90%が中国向けに販売されている。

英国紙デイリー・テレグラフは3月16日、イラン当局者の話として、人民元決済の貨物については中国関連船舶の通航を認める可能性があると報じた。また、イランのアラグチ外相は14日、米メディアのインタビューで、中国とロシアがイランに軍事協力を提供していると述べた。

しかし専門家は中国が軍艦を派遣する可能性は低いとみている。台湾の国防安全研究院の沈明室研究員は「中国はイランに対する影響力を持ち、イランも中国船舶を完全に遮断することはない。仮に派遣しても米国や同盟国と共同で行動することはなく、共同作戦に加われば他国船舶の護衛責任も負うことになるため、参加の可能性は低い」と指摘した。

また蘇紫雲所長は、中国船舶であっても誤爆のリスクがあることに加え、中国が護衛に参加しなければ米中関係が対立的な状態にとどまる可能性があるとし「トランプ氏は中国に難しい選択を迫っている」との見方を示した。

こうした状況について、専門家は中国が対応のバランスを模索していると分析する。国内的な影響は限定的である一方、国際社会ではイラン寄りの立場と見なされる可能性があり、米国側は中国の対応に応じて対中政策を調整する構えだ。

沈明室研究員は、トランプ大統領が中国の対応次第では月末に予定される米中首脳会談を取りやめる可能性に言及しているとし、中国に対する圧力が強まっているとの認識を示した。

米軍は3月14日、イランの主要石油輸出拠点であるハルグ島を攻撃し、島内の軍事設備を破壊した一方、石油インフラへの攻撃は回避した。同島はイラン原油輸出の約90%を担う拠点である。トランプ大統領は、イランや他国がホルムズ海峡の航行を妨害した場合、同島の石油施設への攻撃を再検討する可能性があると警告した。

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