トランプ前大統領は8日、人工妊娠中絶規制の決定は、各州が判断すべきとの見解を示した。
トランプ氏はSNSで「各州が投票か立法、またはその両方によって決定するものだというのが私の考えだ」と述べた。共和党員に対しては「我々の文化を回復させ、我々の国を救うためには選挙にも勝たなければならないことを忘れてはならない」と付け加えた。
また、前大統領は体外受精(IVF)などの不妊治療を支持するとも述べた。
トランプ氏はかつて妊娠後15週以降の中絶を全米で禁止することへの支持を示唆していたが、方針を転換した形だ。
トランプ氏の発言を受けて、プロライフ(胎児の生命を尊重・中絶反対)の非営利団体「スーザン・B・アンソニー・リスト」のマージョリー・ダネンフェルザー代表は「胎児とその母親は、中絶産業の残虐性から擁護されるべきだ」と、批判する立場を示した。
米国では2022年に連邦最高裁判所が、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下し、共和党が優勢の州を中心に中絶を厳しく規制する動きが相次いでいる。
いっぽう、バイデン大統領は、中絶を受ける女性の権利を支持し、ロー対ウェイド判決の覆しに反対する立場を繰り返し表明している。
バイデン氏は同日、声明で「ドナルド・トランプ氏が理解していないのは、ロー対ウェイドを撤廃したことで、アメリカの女性から基本的な権利を奪ったことだ」と指摘。議会がバイデン氏の支持する法案を通すならば「女性の選択する基本的な権利が再び国の法律となる」と強調した。
世論調査によれば、有権者の大半と多くの議員は、妊娠初期の中絶は認めるが、何らかの制限を設けることに賛成している。民主党議員の中には、いかなる制限にも反対する者もいれば、全面禁止に賛成する共和党議員もいる。
有権者と議員の間では、中絶禁止措置に例外を設けるべきか、どのような場合に例外を認めるべきかについても意見が分かれている。一般的な例外には、近親相姦が含まれる。
トランプ氏は週末に、「私や多くの共和党議員が、強姦、近親相姦、母体の生命を守るための例外を認めていることを忘れないでほしい」と述べた。
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