米フロリダ州のロン・デサンティス知事は17日、共産主義の危険性と害悪について教えることを全学年に義務付ける法案に署名し、成立した。
法案は、2026-2027年度から幼稚園の児童から高校の生徒に、共産主義の歴史と危険性について教えることを義務づける。授業は各学年に「適切かつ成長段階に応じた」ものとなる。
デサンティス氏は「私たちは共産主義の悪について真実を伝える。中国からソ連、キューバへと広がる共産主義政権の手によって、20世紀には1億人が殺された。この事実を認識しなければならない」と強調した。
署名式に立ち会ったピッグス湾事件の生存者でベトナム帰還兵のフェリックス・ロドリゲス氏も「共産主義国に住んだことがなく、社会主義の意味を知らない多くの左派教授が間違ったイデオロギーを学生に教えている」と指摘。「すべての州がこのような法律を採用すべきだ」と発言した。
フロリダ州は、これまでも共産主義に強硬な姿勢をとってきた。2022年には11月7日を「共産主義犠牲者の日」と指定し、中国共産党やソビエト連邦など共産主義政権下で起きた大量虐殺や飢饉、迫害について授業を行うよう公立学校に義務付けている。
教育に潜む共産主義の影
フロリダ州教育省長官のマニー・ディアス・ジュニア氏は、教育システム全体にわたって共産主義が浸透し、左派教育が横行していると指摘する。
「あまりにも長い間、左派が彼らのイデオロギーと、誤った言い分を、高等教育を受ける学生たちに押し付けようとしてきた。法案はこれに対抗することができる」と意義を強調した。
デサンティス氏も法案は「学生が共産主義の洗脳に耐えられるようにするもの」としている。
フロリダ州ではかつて、すべての公立高校生が「アメリカニズム対共産主義」という30時間のコースに合格することが義務づけられていたが、1991年のソ連崩壊後に廃止された。
米NPO「共産主義犠牲者記念財団」が実施した2020年の世論調査によると、Z世代の18%とミレニアル世代の13%が、共産主義は資本主義よりも公正だと考えており、Z世代の30%とミレニアル世代の27%がマルクス主義に好意的な見方をしている。
法案を提出したジェイ・コリンズ州上院議員は「80年代に共産主義や社会主義が死んだと思い、警戒心が緩んだ。しかし、そうではなく、共産主義は浸透し続けている」と指摘。
「この法案は、共産主義が地域社会、国、人口に及ぼす悪影響、そしてそれが引き起こす死について、現実を取り上げるものだ。(中略)今日子供たちに教えたことが、明日のこの国の現実となるのだ」
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