米国のトランプ前政権で対中政策の実務を取り仕切ったマット・ポッティンジャー元大統領副補佐官(国家安全保障担当)は29日、米国の対中戦略は中国共産党員による「体制崩壊」を招く可能性があると述べた。
ポッティンジャー氏はCNNのインタビューで、中国共産党の党員たちは、習近平が舵取りをしている方向性を「非常に懸念している」と指摘。アメリカに対する「対決的なアプローチ」や、「ロシアとウクライナの戦争をあおっている」ことなどを例にあげた。
「そのため私たちが求めているのは、冷戦初期にジョージ・ケナン氏が提唱した『封じ込め政策』だ」とポッティンジャー氏。こうすることで中国共産党の体制は「やがて腐敗した重圧に耐えかねて崩壊し始める」と述べた。
「実際4年後にジョージ・ケナン氏は、正しかったと証明された。レーガン政権の終わりに、ソビエト連邦はうめき声とともに消え去った」
さらにポッティンジャー氏は、中国共産党は米国に対して「冷戦」を仕掛けており、中国共産党指導部は西側工業国が中国に依存する状況を作り出そうとしている」と警告した。
またポッティンジャー氏は、習近平は複数の演説で現代の世界の主な特徴は混沌であり、このような混沌は中国共産党の世界における目標にとって有利だとしていると語った。
トランプ前大統領が11月の選挙で勝利した場合の対中戦略について尋ねられると、トランプ氏は米国の利益を損なういかなる行動に対しても、中国に「多大なコスト」を課す可能性があると述べた。
「トランプ氏のアプローチの利点は、彼が積極的に対決姿勢を示したことだ」「もしトランプ大統領が再選され、冷戦時代の枠組みの一部を採用すれば、二期目で米国の政策の成功が加速するだろう」
トランプ氏は2月、FOXニュースのインタビューで、11月に再選された場合、中国に60%以上の関税を課すと発言した。在任中の2018年から2019年にかけては、米中貿易摩擦の中で、数千億ドル相当の中国製品に関税を課していた。
その後、バイデン政権もトランプ前政権の関税を維持し、安全保障上の懸念を理由に、先端半導体とその製造装置の輸出を禁止する新たな制限を加えている。
25日に中国を訪問したブリンケン米国務長官も、中国の「非市場的な経済慣行」について取り上げ、共産主義政権に対し、米国企業に公平な競争条件を提供するよう求めた。
米国通商代表部は、海運、物流、造船業界における中国共産党の不公正貿易慣行を調査しており、バイデン氏は、中国からの鉄鋼とアルミニウムに3倍の関税をかけるよう求めている。
一方、中国外務省の王文斌報道官は25日の会見で、中国共産党は「市場原理に従って」経済貿易協力を行っていると主張した。
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