このほど、病院入院中に「臓器狩り被害」に遭ったと思われる不可解な死を遂げた8歳女児・王思竣ちゃんの事件が中国のネットを騒がせている。
遺族による涙の告発は、世論の同情と憤りを引き起こし関連トピックスは、中国版TikTokの抖音(ドウイン)にトレンド入りした。
この事件は動画で拡散され、病院や現地当局からも無視された一家の為に、声を上げるネットユーザーや、亡くなった子供の母親に取材するブロガーも次々と現れている。
(遺族による投稿、思竣ちゃんの遺体に抱きついて号泣する男性)
不可解な死
以下は中国雲南省昭通市出身の王思竣ちゃん(8歳)の母親による供述。
昨年8月15日、思竣ちゃんは病院に用があった家族の付き添いで、雲南省にある「紅十字会医院(雲南省第二人民医院)」を訪れた。
病院で用を済ませた後、家族は小児科医師から「子供に健康診断を受けさせるよう」勧められた。
検診の結果、医者から「子供は重い病気にかかっている」と言われ、「その病気を治せるのは中国のなかでもうちの病院だけ」「うちの病院を出れば子供は死ぬ」とまで脅された。
そうして、思竣ちゃんは毎日、病院で長期間、病床に縛り付けられて点滴されたり、その他、色々な処置を施されるようになった。
8月23日午後3時、その時点で思竣ちゃんは元気だった。思竣ちゃんは私(母親)に対し「医師が自分の足から大量の血を抜いた、だからすごく怖い」と話していた。
しかし、その1時間後、思竣ちゃんは突然死んでしまった。
子供の死について、病院は真っ先に家族に知らせてくれなかった。私たち家族は、同じ病室の別の子供の保護者のから思竣ちゃんが「腎臓科の病床で死んだ」と聞かされた。
それを聞いて急いで腎臓科へ行ったが、医師は私達を追い出した。その時、子供の周りには医師十数人が取り囲んでいて、私(母親)を近づけさせなかった。
農村にいる家族にこの件を話したら、すぐに病院に駆け付けてくれた。家族は病院に対して子供のカルテを渡すよう求めても「カルテはない」と言われた。「遺体はどこ?」と質問しても、病院側は「ICU(集中治療室)」とだけ答えるだけで、面会を許さなかった。
(不誠実な病院の対応に)、怒りのあまり、最終的にはICUのドアを蹴り破って、私達はようやく子供に会うことができた。家族はその時の様子を動画撮影していたが、撮影する家族を医師が止めていた。
医師が「臓器提供の同意書へのサイン」を強要した。その時になって初めて、私は「何かがおかしい」と直感した。それからどんな書類もサインしなかった。
子供のカルテはなかった。医師たちは子供の死亡後に急いでカルテを作ったのだろう。
(思竣ちゃんの母親による説明)
「ぞっとする詳細」
母親はさらに「ぞっとする詳細」について明かしていた。
「うちの子はその他の多くの子供たちと一緒に入院していた。男女別々の病室だった。部屋の入り口には常に看護師が見張り、人の出入りを管理していた。子供たちはみんな同じ薬を飲んでいた」
「自分の子は小児科で治療していた、なぜ腎臓科で死んだのか」遺族は納得のいく説明を病院に求めるも取り合ってもらえず、現地当局「雲南省衛健委」も病院を擁護して、この件の立件を拒否しているという。
臓器狩りの被害に遭ったのか?
そうして遺族は致し方なく、SNSを通じて、病院を告発した。しかし、思竣ちゃんの具体的な死因について遺族は明言していない。
中国SNSと言えども、検閲されている。そこで遺族は「臓器狩り」など物騒な言葉を使わず表現を変えて、次のように訴えている。
「病院は『治療』にかこつけて娘の体の中の最も貴重なものを盗んだ。娘の体内の最も大切なものがいまだに行方不明だ」
遺族は更に、病院のICU内の病床上の子供の遺体を抱きかかえて号泣する父親らしき男性の動画を公開し、思竣ちゃんの生前の写真や動画をSNSに立て続けに投稿。母親は「必ず真相を突き止める」ことを誓っている。
「私たちは昭通市の農村出身で、何の後ろ盾もない。事件当時は何の疑いもなく、無条件に病院の医師の言うことに従っていた」という母親の言葉は無数のネットユーザーの心に突き刺さった。
(思竣ちゃんの生前の写真や動画)
実在する「臓器バンク」
思竣ちゃんの死をめぐり、ネット上では、「思竣ちゃんが珍しい血液型であることが健康診断でわかったから、重病と家族を騙して入院させて採血をしたのでは? 過剰な採血が原因で死亡したのだろう」と推測する人もいれば、「健康診断の結果、その臓器が臓器供給を必要とする誰かとマッチングしたのだろう。腎臓を抜き取られて移植されたのでは」と勘繰る人も少なくない。
遺族による「臓器狩り」をほのめかす告発やネット上に流れる「臓器狩り」推測について、「当たらずとも遠からじ」と考える人は多い。
というのは、中国共産党による「臓器狩り」はいまや世界中が知る公然の秘密となっているからだ。情報が限られる中国国内であっても、人々は勘付いている。
とくに近年、中国官製メディアは「脳死患者から臓器を提供されて多くの人が生き延びた」とする美談を相次いで報道している。しかし、そんな美談を「恐ろし過ぎる」と感じる市民は多い。
この場合、いわゆる「脳死患者で臓器提供者」はたいてい若い。なかには転んで骨折して病院行ったら、ほどなくして「脳死」扱いになる不可解なケースもある。その場合、脳死と告げられた家族は医師から説得され「臓器提供同意書」にサインさせられる。
米ニューヨークに拠点をおくNGO団体「追査国際(WOIPFG)」が行った数年にわたる調査は、法輪功学習者を対象とした大規模な臓器移植産業が存在していることを突き止めている。(関連動画はこちら)
中国の政法、軍隊、そして医療システムまでもが結託して協力し合い、「需要に応じて人を殺す」大規模な臓器バンクの全国的なネットワークが構築されている。
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