百家評論 抑制しがたい征服への野心

中国共産党の軍事的野望、南シナ海、台湾海峡、米中対立の三大事例解析

2024/07/25 更新: 2024/07/25

 

中国共産党(中共)が最近展開した一連の軍事外交行動は、世界の安全保障に新たな脅威をもたらしている。特に、南シナ海台湾海峡、そして米中間での核軍備管理交渉の中断が、地政学的緊張を高めている。これらの行動からは、中共の隠さない軍事的野望が見て取れ、台湾海峡、南シナ海、インド太平洋地域に対する脅威が一層増していることは明らかである。

米中核軍備管理交渉の中断 台湾問題がもたらす新たな軍事対立

7月17日、中国外交部は、アメリカが台湾への武器販売を続けていることを理由に、アメリカとの交渉を一時停止すると発表した。これは、アメリカとの極めて危険な勝負、すなわち核に関する駆け引きをしていることを示している。

長い間、中共は核武装の強化に専念し、軍事的な透明性に欠ける態度を示し、アメリカが提案する核軍備管理に関する対話への参加を拒否し続けてきた。しかし昨年11月、習近平とバイデンの首脳会談を控え、中共は米中関係の緩和と、いわゆる「サンフランシスコビジョン」の実現に向けて、アメリカとまれに見る核軍備管理に関する対話を行ったが、目に見える成果はなかった。そして今年の3月、5年ぶりに中米間で非公式ながら核兵器に関する対話を再開した。

バイデン政権は、特に三つの問題に焦点を当てている。中共の核軍縮と核拡散防止への取り組み。AIを核兵器システムに導入する際の規範。そして、将来的に台湾海峡での紛争が発生した場合の中共による核兵器使用の可能性。中共は、バイデン政権が米中戦略競争に対する防衛策を急ピッチで進めていることを認識しており、アメリカの台湾への武器売却を理由に、核による威嚇を行っている。これは、道徳的な制約を超えた「超限戦」であり、アメリカが対抗策を強化する理由となっている。

NATO創設記念日に合わせた戦略的軍事演習

7月8~19日までの期間、中共はロシアの同盟国であるベラルーシと共に合同軍事演習を行った。これは、双方の国による初めての明確な軍事的協力の事例となる。その直前の7月4日には、ベラルーシは中共が率いる上海協力機構に公式に加盟した。この軍事演習は、NATOへのはっきりとした挑戦と見なされる。その理由の一つは、演習がNATO創設75周年を祝うワシントンサミット(7月9~11日)と同時期に行われたこと、そしてもう一つは、演習地がベラルーシのブレストであり、NATO加盟国であるポーランドの国境からわずか5キロ、ウクライナの国境から50キロの地点に位置し、中国軍がヨーロッパの戦略的な地点に初めて展開したことである。

NATOは、現在世界最大の軍事・政治同盟であり、32か国の加盟国が中国に対する政策で意見の相違を持っている可能性がある。しかし、2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻後、中共は裏でロシアを支援し、NATOとの間で戦略的な対立を深めている。7月10日に開催されたNATOサミットでは、「ワシントンサミット宣言」を通じて、中共がNATOの利益、安全、価値観に挑戦し続けており、ロシアとウクライナの戦争でロシアを支援し、ロシアの隣国とヨーロッパ・大西洋地域の安全に対する脅威を増大させていると初めて公式に警告した。

長い間、中共はNATOと直接衝突することを避け、分断戦略を駆使してNATOが統一した中国政策を策定するのを阻んできた。しかし、最近NATOの近くで行われた軍事演習は、軍事的には大きな意味はないものの、政治的には大きな意味を持ち、中共がNATOに対する態度を変え、対立を促していることを示している。このような行動は、NATOを威圧するどころか、中国自身の戦略的なジレンマを深める結果となるだろう。

南シナ海で展開する中国とロシアの挑発的海上パトロール

7月16日、中露の公式報道機関は、海軍が実施した第4回目の共同パトロールを完了したと発表した。その翌日の7月17日には、6日間にわたって行われた「海上共同-2024」軍事演習が、南シナ海での実射訓練をもって幕を閉じた。

中露の共同パトロールは2021年にスタートし、日本とアメリカに対する挑発的な態度を増している。今回のパトロールで特に注目すべき点は、中国とロシアの海軍が初めて南シナ海で共同パトロールを実施したことである。この「海上共同」演習シリーズは、2012年から始まり、中露両国の海軍協力の象徴的な活動となっている。

しかし、ロシアとウクライナの紛争では、ウクライナは大型戦艦を保有していないにもかかわらず、爆発物を搭載したドローン艦艇や「ストームシャドウ」ミサイル、ATACMSミサイルを用いてロシアの艦隊に攻撃を加え、ロシアの艦船が黒海北西部の広範囲に展開することを困難にした。2022年4月には、ウクライナの対艦ミサイルがロシアの黒海艦隊の旗艦である「モスクワ」を撃沈し、クレムリンにとって大きな恥辱となった。ウクライナ海軍の司令官は、ロシアが黒海のクリミア拠点を失ったと指摘している。

ロシア海軍の現況を踏まえると、中共海軍が行っている共同軍事演習や協力には疑念が湧く。中共海軍、または中露連合海軍が、アメリカや日本の海軍と直面した際の抵抗力はどの程度なのか? 勝算はほぼないと見られているという。

現在、ロシアはウクライナとの戦いで困難に直面しており、アメリカ、日本、NATOは中共に対する警戒心を強めている。それにも関わらず、中共はロシアとの海上パトロールや軍事演習を積極的にアピールしている。しかし、これはフィリピンや台湾に対する警戒心をあおり、国内向けの宣伝に過ぎず、実際の利益はほとんどない。

結論として、中共のこれらの軍事外交行動は、国際戦略的に見て短絡的である。さらに、世界の注目を集める三中全会の期間中にこれらの行動をとったことは、中共の長期計画と抑制しがたい軍事的野心を露わにしている。自国とアメリカ、西側諸国との軍事力の格差を認識せず、2027年の「建軍百年目標」に酔いしれ、アメリカとの軍事的対決を望んでいるようだ。

中共はインド太平洋地域の安全保障にとって最も大きな脅威となり、破壊的な影響を及ぼしている。国際社会はこの状況に対して警戒を強め、速やかに対応すべきである。

 

王赫
関連特集: 百家評論