国家安全の視点
専門家によれば、ポルノグラフィーは、特に労働集約型産業においては、大きな社会的・経済的コストを伴うため、国家安全保障上の問題となる。
急成長している経済、例えばインドのような選挙民主主義の国では、その有害な影響は開発のあらゆる部門に及ぶ可能性がある。
国際通貨基金(IMF)の7月の世界経済見通し改訂版によると、新興市場や発展途上国の中で、インドは世界で最も急成長している経済だという。KPMG会計事務所の報告書によれば、インドの動画のコンテンツの加入者数は5億人で、中国に次いで2番目の数字である。
2023年12月のインド政策財団のレクシュミ・パラメスワラン氏の報告書は、規制されていないデジタルメディアプラットフォーム上のコンテンツが社会に与える影響と、ポルノコンテンツの拡散を抑える難しさを調べた。
この報告書によると、インド政府が2018年にポルノグラフィーに厳しい規制を課した後、ケーブルや他のプロバイダーを通さずにインターネットでメディアサービスを提供するOTT(オーバー・ザ・トップ・メディア)プラットフォーム、が、既存の規則を利用して「本質的にソフトポルノと分類できるもの」を販売し始めたという。
今年3月、インドの情報放送省はポルノコンテンツを配信している複数のOTTプラットフォームを禁止した。しかし、成人向けコンテンツの提供者が戦術を変えるため、ポルノの拡散を止めるのは難しい。
国では、ポルノがビジネスの生産性に与える経済的コストを年間約160億ドルと推定しているが、インドは最も急速に成長している市場のひとつであるにもかかわらず、そのような統計を見つけるのは困難か不可能である。また、ポルノがインドの人材育成、つまり従業員の労働生産性や国全体の成長にどのような影響を及ぼしているかという分析も容易ではない。
インド政策財団の報告書によると、インド政府がポルノグラフィーのウェブサイトを数百件禁止しても、パンデミック中にポルノコンテンツの視聴が95%増加したという。
「統計は、政府の動きが永続的な影響を及ぼさなかったことを示している。ポルノサイト側は、名前を変えたり、インド市場の高まる需要に応えるために新しいサイトを立ち上げたりして、政府の決定を回避する方法を見つけた」とパラメスワラン氏は述べた。
報告書は、インド市場、特にソーシャルメディアプラットフォームで成人向けコンテンツが蔓延している様子を示すために、さまざまなケーススタディを引用している。
パラメスワラン氏はポルノグラフィー使用によって引き起こされる問題について調べており、行動科学ジャーナル「Aggressive Behavior」に掲載されたメタアナリシスを引用して、性的、暴力的ポルノグラフィーと女性に対する暴力との相関関係を示している。
パラメスワラン氏は、行動科学誌『攻撃行動(Aggressive Behavior)』に掲載された、性的に暴力的なポルノと女性に対する暴力との相関関係についてのメタ分析を引用しながら、ポルノグラフィーの使用が引き起こす問題について考察した。
ポルノを日常的に観ると、暴力が普通のことのように思えてくるとパラメスワラン氏は言った。「それは人々の感情を鈍感にする。医者や教師などとの日常的なやり取りが性的に過剰に表現されると、その影響はさらに強くなる」とパラメスワランは述べている。
「ポルノがインターネットを通じて若い年齢で紹介されると、その悪影響はさらに顕著になる。思春期の男の子はセックスを権力と結びつける傾向があり、思春期の女の子はその歪んだ権力構造を受け入れるように仕向けられる」とも述べている。
それにもかかわらず、経済的な利益が非常に高いため、インドでは巨大な産業が動いている。「業界が大金を稼ぎ続ける限り、そのようなコンテンツの生産が減速することはないだろう」と同氏は言った。
ポルノと暴力の相関関係については、アメリカで報告されているレイプ件数がインドの件数を上回っていること指摘している。インドの問題の重要性を損なうどころか、世界最大のポルノ生産国であるこの国のこの数字は、ポルノと性暴力の関係を裏付けている。
ポルノグラフィーを武器として使用
ポルノグラフィーには武器としての意味もある。性的暴力は有史以来、戦争の中で様々な形で使用されてきた。現代の秘密戦、サイバー諜報、情報戦争の時代において、ポルノグラフィーはツールと見なしている。その力は、通常の人間の行動を覆し歪める能力にあり、職場での生産性を低下させ、家族生活—強い社会の基盤—を損ない、不安を広げる。
2009年のイギリス心理学会の回顧によれば、「第二次世界大戦に関与した主要な戦闘員は、心理戦(PSYOP)戦略の一部としてポルノグラフィーを使用していた」という。
これらの戦術は、敵の兵士の士気を失わせたり、動機を削いだり、同盟国との間に亀裂を生じさせるために使われた。
テキサス州を拠点として人身売買と戦っているヤコ・ボーエン氏はインドにおけるポルノグラフィの背後にある主要な資金源は中国であるとの考えを示した。エポック・タイムズはこの主張を独自に検証することはできなかった。
しかし、中国軍の文書には心理戦に強い焦点を当てていることを示している。
ボーエン氏は出所に関わらず、ポルノグラフィーが「静かな武器」であるとし、インドの立法者にその事実を認識するよう訴えた。
この文脈で、ポルノグラフィーは重層的かつ横断的な課題を課題を引き起こすと同氏は述べた。
「これは地政学的な会話だ。社会経済的な会話でもある。人権の会話であり、それからすべての親にとっての家庭内の会話でもある」
同氏は、父親が仕立て屋であるコルカタの強姦被害者の話に戻った。
「インドの医師たちは、地球上で最も優れた医師たちの一部だ。インド人の頭脳はとても優れている。そう、素晴らしい。そしてその子供は、家族の世代の価値を高めることになるのだ。遺産だ」と同氏は言った。
「ポルノグラフィーほど破壊的な武器は地球上にない。なぜなら、それは静かに家庭に入り込むからだ。子供は夕食の席で、親の知らない間にそれを見ている。そう、すべてのソーシャルメディアプラットフォームに存在している」と同氏は付け加えた。
(完)
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