三菱商事が中国での金属取引停止 不正受け事業縮小へ

2025/01/15 更新: 2025/01/15

三菱商事が中国国内での金属取引事業を停止する方針であることが明らかになった。この決定は、中国での銅トレーダーによる不正行為を受けてのものである。14日、ブルームバーグが報じた。

三菱商事の子会社であるRtMチャイナは、先週顧客に事業停止を通知し、既存の取引の解消を開始した。今後、中国の現物市場における精錬金属および鉱物資源の売買を停止し、現地企業への関連サービスの提供も行わない予定である。

この問題の背景には、銅取引を担当していたトレーダーが、自身と関係のある地元企業などと無許可で取引をしていたことが判明したことがある。三菱商事は、2024年度第2四半期(7-9月期)の決算で、「中国関連取引損失」として138億円の純損失を計上していた。

今回の事業停止に伴い、RtMチャイナは閉鎖される見通しだ。ただし、中国に関連する輸出入の業務は他の事業所や部門に移管され、継続される予定である。

三菱商事は、新規の中国国内取引を停止する一方で、最適な体制への移行を検討している。この移行に伴い、追加で数億円の費用発生を見込んでいるが、全社の業績への影響は軽微であるとしている。

なお、三菱商事がこのような決断を下すのは今回が初めてではない。2019年には、中国人トレーダーが規約違反の取引で300億円を超える損失を出したことを受け、シンガポールを拠点とする石油取引の部門を閉鎖している。

この一連の出来事は、大手商社の海外事業におけるリスク管理の難しさを浮き彫りにしている。今後、三菱商事がどのように中国市場との関わりをしていくのか注目される。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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