トランプ政権の早期退職 7万5千人が応募

2025/02/14 更新: 2025/02/14

約7万5千人の連邦政府職員が、トランプ政権による早期退職勧奨(Deferred Retirement Program:DRP)に応じた。この制度により、対象者は9月30日まで給与と福利厚生を全額受け取りつつ、出勤義務やレイオフの対象から免除されることとなった。

この数字は、アメリカのニュースサイトSemaforが最初に報じた後、政権高官が大紀元に確認したものである。7万5千人は、連邦政府職員約230万人のうち約4%弱に相当するが、すべての職員が制度の対象だったわけではない。アメリカ人事管理局のデータによると、2000年から2023年にかけて、年間平均で9万8,669人の連邦政府職員が退職している。

今回の特別退職制度は1月28日から2月12日までの短期間に実施され、1日平均6,250人が応じた。これは、2000年以降の1日平均退職者数274人を大幅に上回る数字だ。

当初、この制度は2月6日で終了する予定だった。しかし、約80万人の連邦政府職員を代表するアメリカ連邦職員連盟が提訴し、締め切りが2月11日まで延長された。その後、裁判所が2月12日に訴訟を終結させ、早期退職制度の実施が正式に認められた。アメリカ連邦職員連盟のエヴェレット・ケリー全国会長は「今回の判決は、公務員の尊厳と公平性を求める戦いにとって後退である」と声明で述べ、今後の対応を検討していると付け加えた。

連邦政府職員の退職制度には大きく分けて2つのプログラムが存在する。1つは古くからの「公務員退職制度(CSRS)」で、平均月額年金は5,447ドル。もう1つは1984年に導入された「連邦職員退職制度(FERS)」で、こちらの平均月額年金は2,126ドルである。

両制度には大きな違いがある。CSRSは確定給付型で、職員の最高給与3年間の平均の56%を月額年金として保証する仕組みだ。一方、FERSは1984年、当時のロナルド・レーガン政権下で、約6億ドルの積立不足を抱えたCSRSの改革として導入された。FERSは保証される年金額を抑える代わりに、対象職員が社会保障給付を受け取れる仕組みや、政府の退職貯蓄プラン(Thrift Savings Plan)への投資によって、退職後の収入を増やす機会を提供している。1984年以降に採用されたすべての職員はFERSの対象となるった。

今回の特別退職制度を受け入れた7万5千人について、CSRS対象者とFERS対象者の内訳は公開されていない。

なお、連邦政府職員の平均給与は、10万6,382ドルで、アメリカ国勢調査局による全米の世帯年収中央値7万5,149ドルを大きく上回る。このように、連邦政府職員は比較的高い給与水準にあることがわかる。

米国の議会政治・政策を担当するエポックタイムズの調査記者・編集者。2006年に「全米情報公開法(FOIA)の殿堂入り」を果たし、2008年にはCPACの「ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー」に選出。2014年にはコロラド・スプリングス・ガゼット紙のピューリッツァー賞受賞シリーズ「Other Than Honorable」でコンサルティング・エディターを務めた。