米中対立 習近平の共産主義拡張とトランプ氏の抑止策

2025/03/22 更新: 2025/03/22

米中間の対立が激化する中、習近平は共産主義拡張を推進し、トランプ氏は経済制裁や軍事的抑止で対抗する。台湾海峡や南シナ海が新たな緊張の焦点となり、両国間の衝突は、避けられない状況にある。この記事では、その背景や今後の展望を詳しく解説しよう。

将来の世界情勢における最も重要な核心的衝突点について、多くの専門家は、米中両国間の全面的な対立が避けられないと考えている。最近、中国外交部の報道官は、記者会見で、アメリカが挑発するいかなる形式の戦争にも、中国は徹底的に応じると明言した。一方、アメリカのヘグセス国防長官は、米軍がすでに準備を整えていると応じ、両国間の緊張感はますます高まっている。さらにアメリカは、中国製品への関税を計画通り引き上げるだけでなく、技術や投資面での制限も強化し続けている。軍事的な配置も一瞬たりとも手を緩めておらず、衝突は避けられないようだ。

では、今後両国間の対立は、どのように展開していくのか。中国側は、どのような計画や準備を進めているのか。アメリカ側が、一連の対抗措置を取る理由とは何か。そして最も重要なのは、習近平とトランプ氏が互いをどのように見ているかである。

習近平が推進する共産主義独裁と世界的拡張、トランプ氏による抑止と台湾海峡への焦点

テレビプロデューサーの李軍氏は、新唐人テレビの『菁英論壇』番組で、トランプ大統領が第1期目に中国から輸入される3700億ドルの商品の関税を設定し、その税率は7.5~25%の幅があり、平均的には19~21%に安定していたと語った。さらに、トランプ2.0政権はこれまでに2回、各10%ずつ関税を引き上げており、概ね40%の関税がかかっていると考えられるが、これは完全に正確ではない。なぜなら、第1期目にはすべての商品に課税したわけではないからである。しかし、今回は20%の関税がすべての商品に適用されている。

中国共産党(中共)は、関税に対して非常に明確な姿勢を示しており、アメリカが関税を引き上げれば、中国も同様に応じる構えだ。

特に2回目以降は、アメリカからの多くの農産物(鶏肉や小麦など)にも関税を課し始めた。

中共の強硬な対応により、現在この問題は解決が難しい状況に陥っている。

李軍氏によれば、アメリカ商務長官は、3月9日に「フェンタニル問題が解決されない限り、トランプ大統領による関税引き上げは続くだろう」と発言したとのことである。

トランプ大統領は、アメリカでは毎年約10万人がフェンタニルによって命を失っているため、この問題に非常に強い決意を持っている。このまま進むと、関税率が60%、さらには100%に達する可能性が高まっている。

一方で、大規模な戦争も避けられない状況に近づいている。

亡命中の自由主義法学者の袁紅冰氏は『菁英論壇』で、中共の習近平が数年前に、ソ連崩壊に対して発した「誰一人として男児たり得ない」という言葉に言及した。この言葉は、ソ連時代に約1千万人の官僚や党員がいたにもかかわらず、ソ連共産政権崩壊時に殉じた者が一人もいなかったことを示している。この現象を受け、習近平は「似た者同士の滅びに対する哀しみ」という感情を表明した。この発言は、彼がマルクス・レーニン主義の子孫であり、中華民族の子孫ではないことを示唆している。また、彼がソ連共産政権の崩壊を嘆いたことは、彼の「心の知能指数」「感情の知性」(EQ)を深く反映している。

袁氏によれば、習近平政権の最も重要な方向性は、国際共産主義の復興である。そのため、国内では毛沢東時代への回帰を進め、国外では共産主義独裁体制による世界的拡張を推進してきた。「一帯一路」をプラットフォームに、政治、経済、文化などあらゆる分野での拡張を図ってきたのだ。

このような状況下で現れたのが「トランプ1.0」で、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンでアメリカ国民の支持を得た。このスローガンが示す通り、アメリカには衰退の兆しが見える。その根本的な原因は、西側諸国が過去数十年間、中共の暴政に対して宥和政策を取ったことで、戦略的発展期を与え、中共経済が爆発的に成長し、結果として世界第2位の経済大国となったことである。

習近平政権下では、この経済力を共産主義独裁体制による世界的拡張エネルギーに転換することに躊躇しなかった。その最終目標は『共産党宣言』に記されている「全世界の解放」と「全世界所有権」の獲得である。

現在の国際政治において、習近平の共産主義独裁体制の拡張は、アメリカに代替し、国際法や国際秩序の立法者・執行者となることを目指している。これが習近平政権の政治意志の根幹であった。

一方、トランプ大統領は、国家危機や自由民主陣営への危機感を抱き、「アメリカを再び偉大に」というスローガンを掲げた。その実現には、習近平の共産主義独裁体制の拡張に対する全面的な抑止が不可欠である。

袁氏は、中共の暴政とアメリカの間で起こるこの世紀的対立は避けられず、単なる関税戦争などの一時的な要因ではなく「宿命」であると結論付けた。

さらに、中共の暴政に対抗し、その拡張を阻止するためには、アメリカが戦略的重心をヨーロッパからアジア太平洋地域に移し、特に台湾海峡に重点を置く必要があると指摘した。習近平政権は、自由台湾の征服を通じて、共産主義独裁体制の拡張に向けた重要な一歩を踏み出そうとしているのである。

そのため、将来的には米中間だけでなく、南シナ海や台湾海峡といった焦点地域でも対立が避けられないだろう。この動向は、今後米中両国間で展開される全体的な趨勢を示した。

習が挑発し、戦車に乗り、トランプ氏と対決

ベテランジャーナリスト郭君氏は『菁英論壇』で、中共の制度と共産主義というイデオロギーが、中共の拡張と世界全体の支配を決定づけるものであると述べた。『インターナショナル』の歌詞にある「インターナショナルが永遠なれ」は、共産主義が世界中に赤旗を立てることを意味している。現在、中共が表面的に宣伝しているのは国家主義や民族主義であるが、その内在的なイデオロギーは、依然として共産主義であり、他者にそのイデオロギーを強制的に受け入れさせ、無産階級独裁を受け入れさせるものである。

2010年頃、中共内部の左派は「反米備戦、除奸救党(米国に反対し、戦争に備え、裏切り者を排除し、党を救おう)」というスローガンを掲げ、全国で巡回講演を行った。

2010~12年にかけて、中共の左派は大規模な反日デモを何度も実施し、中共が抱える合法性の危機を解決できないことも重要な要因であると、郭君氏は指摘している。

習近平が政権を握った初年度には、抗日戦争勝利記念日の大規模なパレードが初めて行われた。その狙いは、共産党の正当性が当時の中華民国の合法政府を打倒したことではなく、対外戦争での勝利にあるということである。この分野において、中共は一連の行動を展開してきた。

習近平やその側近たちは、対外的な憎悪を国内の安定に利用できると考えた。特に第19回党大会の前には、習近平は、中華民族の台頭と中国の全面復興の象徴として、台湾統一問題の解決を掲げ、その矛先をアメリカに向けた。アメリカが最大の障害であるためである。習近平は、10年以内にアメリカ問題を完全に解決できると考えており、その楽観的な見方には一定の根拠が存在したと言う。

郭君氏によれば、2012年時点で中国のGDPは約8兆ドルであり、アメリカの半分以下であった。しかし、2017年の第19回党大会時点では約12.3兆ドルに達し、2022年には約18兆ドルとなり、アメリカGDPの約7割に達した。その成長速度から見ると、中国は2025年までにアメリカを超えて世界一になる計画を立てている。そのため2018年に、トランプ大統領が北京を訪問した際、中共政府関係者は「原材料と消費市場だけ提供してくれればいい。我々が生産する」と直接伝えたという。

当時、中共内部は楽観的な雰囲気に包まれ、アメリカ人だけでなく欧州人や日本人も軽視する態度を取っていた。このような状況下で、中共の極端な強硬派は、実質的にアメリカとの対抗という戦車に乗ることになったのであった。

郭君氏によれば、トランプ大統領はこの問題を深く理解し、明確な対応策を持っていた。それは中共との全面的な対抗と競争であり、かつてアメリカはソ連とも競争しており、1960年代にはフルシチョフが威勢よく振る舞い、ソ連経済はアメリカGDPの約70%に達していた。しかし現在ではロシアGDPは、アメリカGDPの15分の1に過ぎない。アメリカが頼ったものは軍事力ではなく、経済と科学技術によって圧倒的な優位性を築くことである。

郭君氏によれば、国家間の全面的対抗では、経済力が勝敗を左右する最も重要な要素であり、商人出身であるトランプ大統領は、この点を深く理解し、そのため今後数年間対中政策はますます強硬化し、とりわけ経済技術関連政策が厳しくなるだろうと強調した。

習近平が自ら指示した対米フェンタニル戦

袁紅冰氏は『菁英論壇』で、中共の暴政によるフェンタニル前駆体(原料)の輸出は、単なる商業現象や一般的な商業行為ではないと指摘した。習近平が中共の最高権力を完全に掌握した初期段階で、この方針をすでに策定していた。彼は中聯部(中国共産党中央対外連絡部)に指示し、西側諸国へのこの薬物の輸出を命じた。

袁紅冰氏によると、習近平は、トランプ政権の1.0期と2.0期において、内部で類似の発言を行った。彼は、「米国や欧州での薬物乱用は、彼ら自身の問題であり、中国とは無関係だ。我々は、自らの限界を守る必要がある。薬物乱用は、中国とは無関係で、我々が生産する製品はすべて合法である。それが薬物に転用され、米国や欧州に輸入されるかどうかは、彼らの問題だ」と述べた。

このような習近平の指示により、中国国内でのフェンタニル前駆体製品の生産は減少するどころか急速に増加しており、輸出量も同様に急激に拡大している。そのため、現在でもフェンタニル乱用が米国で蔓延する重要な要因となっているのだ。

中共の疫病隠蔽による反人類罪について、州裁判所が責任追及で勝訴し、先例を開いた

李軍氏は『菁英論壇』で次のように述べた。アメリカ・ミズーリ州東地区連邦裁判所は、3月7日に判決を下し、中共は同州のパンデミックによる損失に対して責任を負うべきであるとし、240億ドルの賠償を命じた。この判決は歴史的な意義を持つと言えるだろう。中共は現在、この責任を認めていないが、アメリカの裁判所がこの一歩を踏み出したこと、そしてこれが先例として示されることで、将来的に非常に大きな影響を及ぼすことになるだろう。

袁紅冰は『菁英論壇』で次のように述べた。人類社会の法律は動的なプロセスであり、運命の発展や必要に応じて新たな法律が生まれる。このケースにおいて、中共の暴政に対する告発は、実際には極めて深刻な反人類罪への告発である。中共は故意に疫病を隠蔽し、その結果、世界的に大規模な拡散を引き起こした。また、疫病発生後には防疫器材や設備の輸出を悪意を持って独占し、数百万人の命が失われた。この行為は恐るべき反人類罪である。

反人類罪については、現代法の精神に基づき、普遍的管轄権が適用されるべき罪とされ、普遍的管轄権とは、どの裁判所でも反人類罪への告訴を受け付け、実証された場合には審判と判決を下すことができるという意味である。この考え方からも、中共の暴政による罪行が深刻な反人類罪であることが明らかであり、この結論を導き出すことができるという事だ。

さらに、英米法系は判例法制度であり、裁判官には相当な範囲で法律を制定する権利がある。したがって、このようなケースは、今後の類似案件に適用できる効力を持ち、ミズーリ州裁判所の判決は、先例として広範な法律的影響を及ぼすだろう。

郭君氏は、賠償請求案の実現は、最終的にアメリカ政府の態度に依存すると述べた。アメリカと中共が国交を樹立する前にも、似たような問題があった。一つ目は1949年以前にアメリカ人が中国政府発行の債券を購入し、それを中共政府が返済すべきだと主張していた件。二つ目は1950年の朝鮮戦争勃発時に、アメリカが中国の資産(個人や企業の資産も含む)を凍結し、中国もまたアメリカおよびアメリカ人企業の中国国内資産を凍結した件だ。これらの資産の処理方法は、一時期関係正常化の障害となった。

最終的には、基本的に政治的解決が図られ、お互いに凍結された資産が返還された。しかし、1949年以前の国債問題については、一部がアメリカの裁判所に訴えられたものの、アメリカ政府は、この方法を全く支持せず、結局は立ち消えとなった。このため、行政部門がこのような案件をどのように解釈するかが重要な課題となる。もしアメリカの裁判所が中共に賠償を命じても、アメリカ政府が支持しなければ実現は難しいだろう。したがって、中米対立の最終的な激化の程度は、アメリカの行政当局の態度にかかっていると言える。

大紀元の主筆である石山氏は次のように述べた。実際、アメリカ政府には多くのカードがあり、パンデミック問題だけでなく、生体臓器摘出など中共政府および官僚による反人類罪に関する様々な告発や証拠も含まれていて、今後これらの展開に注目が集まることだろう。

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