新型コロナ対策に批判的だったバタチャリヤ氏 米国立衛生研究所(NIH)長官に承認

2025/03/26 更新: 2025/03/26

新型コロナ(COVID-19)パンデミック中の対策に対して批判的な立場を取っていたジェイ・バタチャリヤ博士が、2025年3月25日に上院の投票(53対47)で米国立衛生研究所(NIH)の新しいトップに正式に任命された。

バタチャリヤ博士は、新しい上司となる保健福祉長官ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏と考えが一致する部分が多く、特にアメリカで深刻化している慢性疾患問題への対応に力を入れる方針だ。

医師であり、元スタンフォード大学の教授でもある同氏は、2020年にマスク着用の義務化やロックダウン、学校閉鎖といった新型コロナ対策を批判したことで広く注目を集めた。

バタチャリヤ氏らは「グレート・バリントン宣言」で、リスクが低い人々には普段通りの生活を再開させる一方で、高齢者や基礎疾患のある人などの弱い立場の人々を重点的に保護するべきだと主張した。

その後、彼は政府を相手取り、自分の意見がソーシャルメディア上で検閲されるよう政府が圧力をかけたとして訴えを起こした。

米国保健福祉省(HHS)の傘下にある13の機関のうちの1つであるNIHは、世界最大規模の生物医学研究支援機関だ。NIHは、大学や病院に所属する何十万人もの研究者に助成金を提供し、年間約500億ドルもの科学研究を支えている。

従業員は2万5千人以上いる。

上院保健教育労働年金委員会の委員長であるビル・キャシディ上院議員(共和党、ルイジアナ州選出)は、今月初めの承認公聴会でバタチャリヤ氏とトランプ氏がFDA長官に指名したマーティン・マカリー博士を称賛した。

「私たちには、透明性を重んじ、アメリカ人が直面する深刻な健康問題に対して公平で偏りのない解決策を見つけ出すことに取り組む公衆衛生のリーダーが必要だ。バタチャリヤ博士とマカリー博士は、その責任を担う準備が整っていることを示している」と、医師でもあるキャシディ氏は語った。

さらにキャシディ氏は、もしバタチャリヤ博士が承認されれば、「NIH(国立衛生研究所)で自由でオープンな議論を推進し、NIHの改革を進めることで科学者たちが次世代の命を救う医療の発見に取り組める環境を作ることに力を注ぐだろう」と述べた。

トランプ大統領は2024年11月にバタチャリヤ氏をNIHの新しいトップに指名した。

今月初めに行われた承認公聴会で、キャシディ氏は、公衆衛生や科学機関への信頼が大きく失われている現状を指摘しながら議論を始めた。

バタチャリヤ氏は、新型コロナウイルスのパンデミックを通じて「医学や科学への深い不信感が広がっているのを感じてきた」と語った。

NIHはメリーランド州ベセスダに本部を置き、国立がん研究所や国立精神衛生研究所、そしてアンソニー・ファウチ博士が率いていた国立アレルギー感染症研究所など、健康に関する27の専門研究所を抱える組織だ。

バタチャリヤ氏は、失われた信頼を取り戻すためには、NIHの研究をより厳密で信頼できるものにすることが重要だと述べた。

「NIHが支援する科学研究は、再現性があり、信頼性が高く、幅広く応用できるものでなければならない」と彼は語った。最近、アルツハイマー病の研究に関する不正問題が発覚し、一部の研究結果の信憑性が疑われたことを振り返りながら述べた。

「NIHは科学データの信頼性に関する問題を解決する責任があり、それを果たさなければならない」

ドナルド・トランプ大統領が国立衛生研究所(NIH)所長に指名したジェイ・バタチャリヤ氏は、2025年3月5日、ワシントンのキャピトル・ヒルで行われた上院保健教育労働年金委員会の指名承認公聴会で証言したMadalina Vasiliu/The Epoch Times

3月5日の承認公聴会で、キャシディ氏はNIHの研究助成金が特定の視点やテーマに偏りすぎていると指摘した。

バタチャリヤ氏はそれを変えるつもりだと言った。

「NIHは、アメリカの健康を改善するために最も革新的な生物医学研究を可能な限り支援するという使命に再びコミットしなければならない」と同氏は述べた。

つまり、既存のアイデアに基づいた漸進的な研究ではなく、大きな発見を生み出す可能性のある最先端の研究に資金を提供することを意味する。

バタチャリヤ氏はまた、「アメリカの慢性疾患危機を解決する研究に焦点を当てる」ように機関の活動を再編する意向であるとも述べた。

パティ・マレー上院議員(ワシントン州選出、民主党)とタミー・ボールドウィン上院議員(ウィスコンシン州選出、民主党)は、指名候補者であるバタチャリヤ氏の承認公聴会において、トランプ政権下ですでにNIHに実施された変更に対する彼の支持について質問した。

「助成金の凍結、諮問会議の停止、臨床試験の中断、大量解雇が行われている」とマレー氏は述べた。

両議員は、このような措置が小児がん、アルツハイマー病、女性の健康問題の治療を脅かし、混乱させる可能性があると主張し、それらを撤回する意向があるかどうかを候補者に問いただした。

「トランプ政権およびDOGEによって実施された最近の研究者解雇や助成金凍結を支持するのか?」とマレー氏は尋ねた。

「私はそれらの決定には関与していない」とバタチャリヤ氏は答えた。

その後、ボールドウィン氏はこう述べた。「この政権はこれまでに14のアルツハイマー病研究センターへの資金提供を停止している。この決定に賛成するか?」

バタチャリヤ氏は「私は外部からその情報にアクセスすることができない」と答えた。

さらにバタチャリヤ氏は、機関の職員を減らすつもりは全くないことを繰り返し説明し、アメリカを健康にするための研究を進めるという使命を果たすために必要な資源を確保することに全力を尽くすと強調した。

大紀元でホワイトハウスと政府機関のニュースや特集記事を担当している。また、上院・下院選挙の報道も行っている。1990年からプロのジャーナリストとして活動しており、ニュースや政治、ビジネス、プロ・大学スポーツ、ライフスタイルなど、地域・全国メディア向けに幅広い分野を取材してきた経歴を持つ。