トランプ嵐が米国を席巻 マスク氏は暗殺の危険にさらされるか

2025/02/21 更新: 2025/02/22

昨年末のアメリカ大統領選挙を発端とする世界的な激変は、アメリカ国内で大きな衝突を引き起こしている。過去2週間、トランプ政権の政策を巡る大規模なデモが発生し、同時にイーロン・マスク氏に対する反クーデターデモも行われた。ダークウェブでは、マスク氏の暗殺に1億ドルの懸賞金がかけられ、彼の警備体制はトランプ氏のそれを上回る厳重さとなっている。トランプ政権の措置は、なぜ一部の人々や団体をこれほど怒らせるのか? アメリカの現在の紛争と分裂の核心問題は何か? アメリカの民主制度はこれらの内部問題を解決することができるのか?

アメリカでは大変革が進行中、連邦政府の大幅なスリム化

テレビプロデューサーの李軍氏は、新唐人の番組『菁英論壇』で、アメリカの現状について、伝統的な勢力が驚くべき規模とスピードで、極左勢力を排除していると述べた。アメリカは大きな変革を遂げ、全面的に伝統に回帰していると言う。

特にここ数日間に、反アメリカ組織やトランスジェンダー、左派メディアを支持していた国際開発庁(USAID)は一掃された。1万4千人以上の職員のうち、数百人しか残っておらず、すべての援助が一時停止されている。連邦政府は、数万人から数十万人規模で人員削減を行っている。

新任の保健福祉省長官は、ワクチン問題に関してファウチ博士を直接批判している。アメリカでは不法移民の逮捕と強制送還が大規模に行われ、国境での不法移民は90%以上減少している。新任の教育長官は、就任直後に全米の教育システムからDEI(多様性・公平性・包摂性)を撤廃し、学校が従わない場合は、連邦資金を停止すると警告している。新任の司法長官は、すべての刑事・民事事件の審査を求め、司法の政治利用を排除し、過去に政治利用を行った検審官を解雇している。

李軍氏は、マスク氏がトランプ大統領の先鋒官であり、今後連邦政府の大幅なスリム化を実現すると述べている。まず監査を行い、データに基づいて議論することが重要である。次に、マスク氏のチームは、国防総省、保健福祉省、教育省に監査を行う。特に国防総省と保健福祉省では、発見される問題が数百万ドル、数千万ドルの規模に収まらない可能性がある。そのため、恐慌状態に陥る人々が出てくるだろうと言う。

時事評論家の横河氏は『菁英論壇』で、トランプ氏就任後に最も驚いたのは、いくらお金が使われたかではなく、国際開発庁に関する問題が最も多く、どこにお金が使われたのかということだと述べている。

横河氏によると、国際開発庁はアメリカのイメージを代表し、対外援助を管理しているが、大金が本来使うべきでない場所に使われていることが明らかになった。アメリカはかつて民主主義と自由を推進しており、これが灯台国と呼ばれる理由の一つであった。しかし、現在はDEI(多様性・公平性・包摂性)やLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)などにお金が使われ、納税者のお金が大量に投入されている。これが最も驚いたことであった。

横河氏は、アメリカの社会福祉と社会保険の問題が最も深刻だと指摘している。その規模は非常に大きく、行政支出の中で社会保険と社会福祉が最大の部分を占めている。現在、マスク氏が公表しているアメリカの人口年齢分布は、社会福祉を受けている人々の分布ではなく、年齢分布である。この年齢分布を合計すると、アメリカの3億人以上の人口の中で、0~299歳の人々が存在し、100歳以上の人は数千万人、120歳以上、140歳以上、さらには200歳の人も存在することになると言う。

もちろん、現時点でこれらのデータを証明することはできないが、マスク氏自身が投稿したものであり、彼が毎日の会計チェックの状況を把握しているため、信憑性は非常に高いと考えられる。しかし、最大の問題は、マスク氏が社会保障局の人々に、現在支給されている社会保険のうち、どれくらいが不正や問題があるか尋ねたところ、全員が半分くらいだと答えたことである。これは許されない。なぜなら、これはアメリカ政府の最大の支出部分であり、その半分となれば軍事費をはるかに超えているからである。

横河氏は国際開発庁が中国の武漢ウイルス研究所だけでなく、ウクライナや世界中の30以上の実験室に資金を提供し、それらを生物化学兵器実験室と呼んでいると述べている。これらのプロジェクトがどれほど監視されていないかという問題は非常に重要である。なぜなら、人類の生物技術は核兵器と同様に、監視されないまま創造されると、人類にとって非常に危険な事態を引き起こす可能性があるからである。

アメリカの民主制度は、現在の混乱した状況に対処できるか?

ベテランジャーナリストの郭君氏は『菁英論壇』で、政治には常に闇があると述べている。政治権力がエリート層に独占されると、闇が必然的に深くなる。権力エリートとは、トランプ氏の言葉を借りれば、ワシントンの沼、すなわち既存勢力である。権力が政治専業集団に独占されると、闇はますます深くなり、世界中どこでも例外はない。

したがって、現在のアメリカの状況は、アウトサイダーが政治権力を掌握したために、専業の政治エリートの反発を引き起こしている。政治権力は開かれたものであり、トランプ氏のような非既存勢力の人物が入り込む可能性があることが、民主制度の利点の一つである。しかし、アメリカの政治体制のこの特徴のために、政治エリートが権力を奪回するためには、民衆を動員するしかなくなるのである。そのため、我々が目にしている現在の状況が生まれてくるのだ。

郭君氏は、過去100年間にアメリカで何度か大きな転換点があり、それはすべてその時の大統領が社会の変化のニーズに応じて行ったと述べている。

最初の人物はフランクリン・デラーノ・ルーズベルト元大統領で、彼は民主党を右派から左派寄りの政党に変革し、当時の政治エリートに大きな衝撃を与えた。

トランプ氏の統治については様々な意見があり、彼がアメリカの制度を破壊しようとしている証拠の一つとして、300以上の行政命令に署名し、立法機関を迂回して独裁的な行動をとっているとの指摘がある。しかし、アメリカの歴史の中で最も多くの大統領令を使用したのはルーズベルトで、彼は12年間の在任中に、3721の大統領令に署名し、今でも最高記録である。

ルーズベルト元大統領はアメリカを左寄りに導き、ニューディール連合を通じて民主党内の既存勢力を打ち負かし、前例のない方法でアメリカを再建し、多くの論争を引き起こした。彼はニューヨーク出身の二代目富豪で、大統領就任時にアメリカ国民のために、新しい政策を追求することを約束し、これが戦いであると述べていた。

この結果、アメリカの既存勢力からの全面的な反対が生じ、ルーズベルトは何度も暗殺未遂に遭った。現在のトランプ氏の状況は多くの点でルーズベルトと似ているが、一方は左寄り、もう一方は右寄りという違いがある。

郭氏は、アメリカが世界で最も多くの国家指導者が暗殺された国である可能性があると述べている。ルーズベルトも暗殺に遭ったが、彼は難を逃れ、同じ車に乗っていたシカゴ市長は殺害された。

現在のトランプ氏の状況も似ており、街頭デモではトランプ氏殺害を呼びかける標識が掲げられ、すでに2回の暗殺未遂があったとされている。

しかし現在、最も危険な立場にあるのは、おそらくマスク氏で、街頭の標識にはマスク氏殺害の呼びかけがあり、ダークウェブでは、マスク氏の暗殺に対する賞金が1億ドルに達したという噂もある。

マスク氏はもともと専門のボディーガードチームを持っていたが、最近の情報によると、トランプ大統領が海軍特殊部隊シールズの小隊にマスク氏の安全警護を指示したとのことである。

郭氏は、リンカーン、ルーズベルト、レーガンなど、アメリカで功績を認められた大統領が皆、暗殺を経験していると述べている。これは、何かを成し遂げると他人の利益を侵害するからである。しかし、民主制度の利点は、国民の要求に応じて、大きな変革が可能なことである。大きな抵抗があっても、国民の承認があれば推進できる。

混乱は必ず起こり、避けられない。多くの闘争がある一方で、妥協や取引も存在する。現在、トランプ政権が新たに発足し、旗印を掲げ、鮮明な立場を示している。将来的には、既存勢力との取引や妥協が必要になると予想され、これは避けられないことである。

横河氏は、トランプ大統領が就任から1か月で物事を進めるスピードが非常に速いと述べる。ゆっくり進めると、官僚機構による引き延ばしが始まり、1、2年が無駄に過ぎることになる。マスク氏を起用した理由は、マスク氏が迅速に問題を解決できるためである。

伝統と信仰への回帰がアメリカを困難から救う

李軍氏は、トランプ氏が最近ホワイトハウスに信仰室を設立し、アメリカ全体の価値観に適合させようとしていると述べた。この新しい部屋は、様々な信仰やコミュニティのリーダーと協議し、宗教信仰の自由を守るよう努めることである。これには、反ユダヤ主義、反キリスト教、その他の反宗教的偏見との闘いも含まれる。

トランプ氏は、2回の暗殺未遂から逃れたのは、神の助けによると繰り返し述べ、神への信仰が非常に強い。信仰室を設立したのは賢明な選択であり、重要な問題を捉えている。すなわち、どんな政治体制も一定の道徳的基盤の上に成り立っているという事だ。

アメリカの先人たちも、アメリカは神への信仰を基盤に建国されたと語っている。何も信じず、道徳的な制約がない場合、どんなに優れた制度も機能しない。制度は人によって実行されるため、人の道徳が崩壊すれば、良い制度も崩壊するという事だ。したがって、トランプ氏が信仰室を設立し、アメリカの核心的価値観を再構築しようとしているのは、根本的な問題を捉えているという事だ。

横河氏は、信仰を堅持することが、アメリカの社会的動揺を乗り越える最大の助けになると指摘している。

アメリカは建国以来、ヨーロッパと比べて、神を信じる人の割合が非常に高く、これはアメリカの強い自己修正能力と直接関係している。

横河氏は、アメリカがカトリックとプロテスタントを含むキリスト教を主な信仰としてきたからだと指摘する。

加えて、アメリカが様々な嵐に耐え、長期にわたって地球上で主導的な力であり続けるのは、信仰によるものだ。伝統と神への信仰に立ち返ることで、この困難を乗り越えられると信じられているのだ。

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