公安調査庁 地下鉄サリン事件のデジタルアーカイブを公開

2025/02/21 更新: 2025/02/21

オウム真理教による地下鉄サリン事件から30年を迎えるのを前に、公安調査庁は2025年2月21日、事件の記録を後世に伝えるためのデジタルアーカイブをウェブサイト上で公開した。

1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件では、オウム真理教のメンバーが東京の地下鉄日比谷線、丸ノ内線、千代田線の3路線の5車両内で猛毒のサリンをまき、14人が死亡、約6300人が重軽傷を負った。事件から30年が経過し、事件を知らない若い世代が増えていることから、公安調査庁は事件の風化を防ぐ目的でこのアーカイブを作成した。

デジタルアーカイブには、遺族の証言や地下鉄職員の手記など約20人分の証言や手記が収められている。また、東京消防庁などから提供された事件当時の写真約100点も閲覧できる。さらに、事件発生時の警察無線の音声記録なども含まれており、当時の緊迫した状況を伝えている。

公安調査庁の特設ページでは、オウム真理教に関連する資料がまとめられており、若い世代にも分かりやすいよう工夫されている。例えば、トップページには教団に関連するキーワードや数字が大きく表示され、クリックすると説明が表示される仕組みになっている。

鈴木馨祐(すずき けいすけ)法相は、「オウム真理教の問題は決して過去の話ではなく現在も続く問題」だとして、「引き続きオウム真理教に対する観察処分を厳正・厳格に実施していく」と述べた。

このデジタルアーカイブの公開は、遺族からの記録保存の要望に応えるものでもある。公安調査庁は今後も新たな証言や資料を追加し、アーカイブの充実を図っていく方針だ。

地下鉄サリン事件は、大都市で化学兵器が使用された前例のないテロ事件として、当時世界に大きな衝撃を与えた。このデジタルアーカイブの公開により、事件の記憶を風化させることなく、次世代に伝えていくことが期待される。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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