米オークランド大学 中国との研究協力を打ち切り 米中学術交流に変化か?

2025/02/24 更新: 2025/02/24

米ミシガン州のオークランド大学は、米議会議員の要請を受け、中国の3つの大学との提携をすべて終了すると発表した。米議会の一部議員は、これらの提携が米国の研究成果の流出を招き、中国(中国共産党)軍の技術的優位性を高める可能性があると懸念を示していた。

米議会、提携解消を要請

先週、米下院対中共特別委員会のジョン・ムーレナール委員長と教育・労働委員会のティム・ウォルバーグ委員長は、オークランド大学に対し、長春理工大学、鄭州軽工業大学、北京信息科技大学との提携解消を求める書簡を送付した。

書簡では、中国共産党(中共)政府が米国のオープンな研究環境を悪用し、知的財産の窃取やスパイ活動を行っていると指摘。オークランド大学と中国の学術機関との提携は、国家安全保障上の重大なリスクと警告した。

また、「中国との学術協力は米国の研究の安全を脅かし、機密技術の流出を助長し、米国の納税者が拠出する研究資金の適正な活用を損なう可能性がある」とも記されていた。

ムーレナール議員は声明で、長春理工大学は「国防技術の発展を担う」と明言しており、吉林省政府と中国国防科技工業局の共同管理下にあると指摘。また、北京信息科技大学も中共の軍事研究において重要な役割を果たしていると自認しているほか、鄭州軽工業大学も「国防教育先進機関」として表彰されていることを問題視した。

オークランド大学、提携終了を決定

オークランド大学のケビン・コーコラン暫定学務担当副学長兼学部長は、米メディアCrain’s Detroit Businessの取材に対し、「議員の懸念を理解し、3大学との提携を終了する」と明言した。

同氏によると、オークランド大学はすでに共同研究の見直しを進めており、2024年末にこれらのプロジェクトの終了に着手したという。さらに、「米国の研究能力や知的財産、納税者の投資が中共政府や中国共産党に利用されることを防ぐため、慎重に対応する」と述べた。

両議員はオークランド大学だけでなく、東ミシガン大学デトロイト・マーシー大学にも書簡を送付している。

東ミシガン大学は、「情報・技術移転に関するすべての連邦法を順守している」としながらも、議員の指摘を慎重に検討し、対応を決定するとコメント。

デトロイト・マーシー大学のドナルド・テイラー学長も、中国の4大学との提携を見直し、結論が出次第、議員に報告すると述べた。

また、昨年にはミシガン大学も同様の警告を受け、今年1月に中国・上海交通大学との20年以上にわたる学術提携を解消している。

米中の学術交流に厳しい視線

オークランド大学の対応は、ジョージア工科大学やカリフォルニア大学バークレー校などにも広がり、これらの大学も中国との共同研究を終了している。

今後、米中間の学術交流や共同研究は、国家安全保障の観点からさらに厳しく審査される可能性が高い。特に、米国の納税者の資金が中共の軍事技術開発に流用されることを防ぐための規制強化が進む見通しだ。
 

陳霆
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