政府が最低賃金を2020年代に全国平均で1500円まで引き上げる目標を掲げたことを受け、日本商工会議所が行った調査で、2025年度から目標通りの引き上げが行われた場合に、収益の悪化で地方の小規模企業の2割が休業や廃業を検討すると回答したことが明らかとなった。
日本商工会議所などは、最低賃金引き上げの影響について、2月中旬までの1か月間、全国の中小企業に調査を行い、3958社から回答を得た。
調査から政府が掲げる最低賃金を2020年代に1500円まで引き上げる目標について「対応は可能」と回答した企業が22.3%であった。一方、「対応は不可能」と回答した企業は19.7%、「対応は困難」が54.5%となった。7割を超える企業から厳しい声が上がっている。
また、2025年度から最低賃金の目標通り7.3%の引き上げが行われた場合、「収益悪化により廃業や休業などを検討」と回答した企業は15.9%であった。
日本商工会議所は「実態を踏まえない急激な最低賃金の引き上げは、特に地方への影響が大きい。賃金水準や物価、企業の支払い能力に基づいて検討していく必要がある」と話している。
経済団体はどう見ているか?
経団連の十倉会長は、昨年、最低賃金の引き上げについて「中小企業は地方に多く、欠かせない業務に従事しているため、急なショックを与えると経営が成り立たなくなる」と述べ、経営に配慮しながら進める必要があるとした。
また、2030年代半ばまでに1500円を達成することは目指すべきだが、毎年7%の引き上げを続けることは現実的ではないとの見方を示した。
一方で、経済同友会の新浪代表幹事は「最低賃金が将来的に上がっていく中で、企業は予見性を以て経営すべきであり、できない企業は退出すべきだ」と述べている。また、その上で、賃金を支払える企業への人材移動が生活水準の向上につながると主張した。
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