法輪功弾圧26年 迫害伝える京都パレード 世界の目覚めはすぐそこに

2025/07/18 更新: 2025/07/19

中国共産党政権による法輪功への弾圧が開始されてから、今年の7月20日で26年が経過する。信仰の自由や基本的人権が深刻に侵害されてきたこの問題は、四半世紀以上にわたり継続しており、国際社会からの非難の声は年々高まっている。

中国古代の修煉法である法輪功(法輪大法とも呼ばれる)は、1992年に李洪志氏によって一般に紹介され、1990年代を通じて中国で人気を博した。1999年までには、7千万人以上の人々が法輪功を学んでおり、その核心理念である真・善・忍は中国の人々の心を掴み、各地で法輪功修煉者の優しさや勇気ある行為についてのニュースが中国全域で取り上げられるようになった。

なぜ中国共産党政権は暴力的な弾圧で法輪功を標的にしたのか。法輪功の迫害情報を伝える法輪功情報センターによると大きな理由は2つある。

1つ目は中国共産党の幹部たちが民衆の心をコントロールできなくなることを恐れていたこと。2つ目は法輪功の指導理念が、文化大革命の時に党が強制的に中国の人々に押し付けた共産主義イデオロギーとは相容れないものだったことだ。

2025年5月5日、米国連邦議会下院では全会一致で、法輪功保護法案が可決された。

法案では、法輪功学習者など良心の囚人に対する中国共産党(中共)国家主導の臓器収奪行為を阻止するようアメリカ政府に求め、中国国内で臓器収奪に関与・協力した人物に対する制裁を求めている。

また中国による法輪功への迫害を国際社会において明らかにし、同盟国・パートナー国および多国間機関と連携し、標的を絞った制裁および査証(ビザ)制限について緊密に協力することが記された。

米国上院でもこの人権弾圧に関する重要な法案が今後可決され、その後、大統領の署名を経て正式に成立すれば、同盟国である日本に対しても国際社会と連携した対応を求める声が強まる可能性が浮上している。

法輪功保護法案の主要な提案者であるスコット・ペリー下院議員(Photo by Anna Moneymaker/Getty Images)

法輪功保護法案の主要な提案者であるスコット・ペリー下院議員(共和党、ペンシルベニア州)は、法輪功迫害について「この野蛮で恐ろしい行為には何らかの罰が与えられるべきだ」と述べた。

「アメリカはリーダーとなり、世界に道を示すべきだ」「我々は行動を起こし、世界の他の国々にそれを認めさせるべきだ」と語っている。

 

迫害停止をパレードで訴える学習者たち

法輪功学習者への迫害は不法拘束、収容所内の誹謗中傷、拷問、暴行、ひいては臓器を収奪するなど、その残虐さは専門家からナチスのユダヤ人迫害をも超えるとされている。

そうした過酷な弾圧が行われている一方、世界の主要メディアは沈黙しており、そうした非人道的な行為が行われている実態は人々にはあまり知られていない。法輪功迫害が開始されてから世界中の法輪功学習者はパレードで法輪功の迫害の真実を静かに伝えてきた。

そうしたなか日本の法輪功学習者たちは12日、京都市で、中国共産党による弾圧の停止を求めるパレードを行い、市民に訴えた。

四条河原町の繁華街付近で街ゆく人々がパレードに注目(大紀元)

 

パレードは天国楽団のきらびやかな金管楽器の音と太鼓隊の力強いリズムに先導され、京都市役所から四条河原町の繁華街を通過し八坂神社までのルートを往復した。パレードが行進する横では、市民や海外の旅行者などがスマートフォンで動画撮影するなど関心の高さがうかがえた。

四条河原町の繁華街付近で街ゆく人々がパレードに注目(大紀元)

 

「頑張ってください」市民から上がるエールの声

街行く人々の中には中国で法輪功が迫害されていることをはじめて聞き、「そんなことは知らなかった」という驚きの声があがった。また真実を伝える法輪功学習者に「頑張ってください」とエールを送る若者たちの姿もみられた。

パレードをきっかけに法輪功弾圧について知ったというカリフォルニア州からの観光客のスカイラー(Skyler)さんは、「中国共産党は法輪功迫害の事実を隠して、注目が集まらないようにしているように見えますね。パレードで知らせるのは良いことです。なぜなら、中国共産党が弾圧しようとしていることに注目を集めているからです」と述べた。

中国共産党は法輪功迫害の事実を隠して、注目が集まらないようにしているように見えますね。パレードで知らせるのは良いことですと言うSkylerさん(大紀元)

 

家族で京都を観光していたピーター・ラプライ(Peter LaPray 写真右側の男性)さんは「アメリカにいる仲間に電話をして伝える必要がある。戻ったら、私たちの仲間に電話して、迫害を止めるよう圧力をかけようと言えるかもしれない」と残酷な迫害の真実を広めようとしていた。

私たちの仲間に電話して、迫害を止めるよう圧力をかけようと述べたPeter LaPrayさん(大紀元)

 

記者から「パレードがなぜ行われているのか」についての事情を聞き、中国共産党の迫害についてはじめて知ったという20代の女性は「人権が守られることは一番大事なことだと思います。頑張ってください」とエールを贈った。

人権が守られることは一番大事なことだと思います。頑張ってください」とエールを贈った女性(大紀元)

 

友人と待ち合わせ中、大紀元の取材に答えた10代の青年 砂川昌之介さんは「暑い中、祖国のためにパレードしているのはすごいことだと思います。政府とか大きい存在に負けずに、しっかりダメなものはダメという姿勢、行動力に感動しました」「頑張ってください」と述べた。

「政府とか大きい存在に負けずに、しっかりダメなものはダメという姿勢、行動力に感動した」と法輪功学習者を称賛した砂川昌之介さん(大紀元)

 

中国共産党による迫害の実態

孫俊、張霞さん夫妻の場合

法輪功弾圧を開始した江沢民を告発し拘束、迫害を受けた孫俊、張霞さん夫妻(大紀元)

2016年、張霞さんは夫の孫俊さんとともに法輪功弾圧を開始した江沢民を告発し、法輪功への迫害に抗議したため、中国共産党政府から弾圧を受けた。2人は逮捕され、裁判で張霞さんは懲役7年5か月、孫俊さんは懲役7年2か月の不当な判決を受けた。2023年まで、2人は7年以上にわたって投獄され、残酷な迫害と拷問、精神的な苦痛を受けた。

特に張霞さんは非常に過酷な迫害を受けた。獄中で全ての歯を抜かれ、毒物を強制的に投与されるなど、心身ともに深刻なダメージを受け、現在に至るまで完全には回復していない。記憶力もほぼ失われ、今日どこに行ったかということさえ、翌日には思い出せないほどで、外出にも支障が出るほどの状態だという。

孫俊さんは法輪功学習者を「転向」させる(信仰をやめさせる)ための拷問を受けた。孫さんは迫害に抗議し、学習者を迫害する犯人や警察への処罰を求め、また修煉の権利を要求して、3〜4回のハンガーストライキを行った。その結果、孫さんの身体も心も深刻な損傷を受けた。

現在、2人は中国から出国し来日した。孫さんはこのような平和な環境の中で修煉ができることを、日本政府に心から感謝していると述べた。

厳しい迫害にあいながらも修煉をやめない孫さんにとって法輪大法とはどういうものなのだろうか。孫さんは大紀元の取材で次のように語っている。

「法輪大法は宇宙の法であり、私たちは修煉を通して心身ともに大きな恩恵を受けてきました。体が健康になっただけでなく、道徳観や人としての在り方も大きく向上しました。『真・善・忍』という法理は、宇宙の根本的な特性であり、私たちにとって非常に価値のある教えです」

「中国国内では厳しい迫害の中でも、私たちはこの信念を捨てず、堅く修煉を続けてきました。そして、今こうして海外の平和な環境に来て、あらためて正しく、真剣に修煉に取り組もうという気持ちがより一層強まりました。修煉を大切にし、心から学び続けていく決意でいます」

中国共産党の法輪功学習者への迫害は当人だけではなく、家族、友人、同僚にも及ぶ。学習者が海外に在住していれば、国内の家族の元に中共当局の弾圧の手が伸びてくるケースも少なくない。

 

李さんの場合

 

母親が女子看守所に連行されたという李さん(大紀元)

 

1996年から法輪功を学び始めたという李さんは6月3日、国家安全部の関係者が中国に住む李さんの母親を強制的に連行したという話を聞いた。

今も当局から母親がどこにいるのか正式な通知は一切ない。中国にいる李さんの家族などがあちこちに尋ねて調べた結果、現在、遼寧省の錦州市にある女子看守所に収容されていることがわかった。

弁護士によると、李さんの母親は何も違法なことをしておらず、家に法輪功の書籍や掛け軸、法輪功が素晴らしいと書いてある小さな飾りが見つかったという理由だけで連行されたという。

李さんは法輪功と中共の弾圧について次のように述べた。

「私と母は1996年から法輪功を学び始めました。修煉を始める前と後では、私自身の人生観が大きく変わりました。「真・善・忍」という理念に出会ったことで、「人としてどう生きるべきか」という目標がはっきりし、人のために思いやりを持ち、より良い人間になろうと意識するようになりました」

「私は『真・善・忍』という価値観は、地球上だけでなく宇宙のすべての生命にとっても受け入れられるべき基本的な道徳の基準だと信じています。人の心が善に向かえば、精神的にも肉体的にも良い変化が現れます。ですから、なぜ中国共産党は、すべての生命にとって最も美しいはずのものを自らの敵とみなして弾圧し迫害するのか、本当に理解できません」

李さんは、迫害の真実を知ることはすべての人に関係しており、「善」と「悪」をどう判断し、選ぶかという問題だと述べている。

 

湯さんの場合

2024年1月1日に来日した湯さんの兄弟、親戚も湯さんが修煉していることで当局から質問されている(大紀元)

 

2024年1月1日に来日した湯さんには、中国本土に兄弟、親戚がいる。彼らも湯さんが修煉していることで当局から尋問されたという。

湯さんが法輪功を修煉しているため、今年の3月頃、中国の国保警察(国家安全保衛局)から「(湯さんの)電話番号や住所を教えろ」などしつこく聞かれた。弟は「住所は知らない」と答え、それ以上協力しなかった。

また当局は今度は湯さんの息子の妻の母親に「用があるから来るように」と連絡してきた。嫁の母親は最初は応じなかったが、数日後に派出所から再度、強く呼び出され、湯さんの消息について細かく尋ねられたという。

嫁の母親は非常に恐怖を感じ、それ以降は、湯さんに連絡することさえも恐れてしなくなった。

中国共産党の弾圧の手は拘束された人間だけではなく、親、子供、兄弟、親戚、同僚、友人など関係する人々にも及んでいる。

 

中国共産党の法輪功弾圧に上がる各界の声

中国共産党による法輪功迫害が2025年7月20日で26年になっていること、また、アメリカの下院で法輪功保護法が全会一致で可決されたことについて、日本の議員や専門家から声があがった。

人権弁護士 岡島実氏

米下院で法輪功保護法案が可決されたことを受け、中国共産党による組織的な人権侵害について深刻な懸念を表明した人権弁護士の岡島実氏(大紀元)

 

米下院で法輪功保護法案が可決されたことを受け、人権弁護士の岡島実氏は中国共産党による組織的な人権侵害について深刻な懸念を表明した。

岡島氏は「中国共産党は人権侵害の輸出を行っている。他国に対しても非常に威圧的、攻撃的な姿勢を取り、臓器売買に絡む重大な人権侵害の状況も生み出している」と指摘。法輪功学習者に対する弾圧や抑圧は決して特定の団体だけの問題ではなく、全世界の人権問題として認識すべきだと強調した。

さらに、法輪功学習者が多く犠牲となっている生体臓器収奪の実態にも言及。「臓器売買の問題には必ず犯罪組織とのつながりが介在する。これを見過ごせば、国際的な犯罪の拡大を招くことは間違いない。中国共産党政府による臓器売買を阻止することは、いまや全世界的な要請だ」と語った。
 

吉田康一郎 中野区議会議員

中野区議員の吉田康一郎議員は中国共産党を「現代のナチス」だとし、「中国共産党というのは、ナチスよりもひどい」と述べた(大紀元)

令和3年の6月に、中野区議会は中国の法輪功や少数民族への弾圧について調査し、そして弾圧が事実であると認定されれば、抗議、制裁をすることを求める意見書を提出し、可決した。

意見書の主要提案者である中野区議員の吉田康一郎氏は、法輪功保護法案に関し「国際的な協力、連携のもとで、法輪功に対する弾圧、あるいはウイグル、チベット、南モンゴルのような少数民族への弾圧、すべてきちんと制裁をし、中国政府が政策を変えるように、これを日本としてもエンフォースする政府でありたい」と述べ、中国共産党を「現代のナチス」だとし、「中国共産党というのは、ナチスよりもひどい」と非難した。
 

大矢卓志 兵庫県議会議員

法輪功学習者に対して「不当な弾圧に屈しないということには敬意を表したい。こういうことに対して抗議するということは、これは民族とか国境とか関係ない」と述べた。大矢卓志 兵庫県議会議員(新唐人テレビの動画のスクリーンショット)

 

法輪功保護法案について、兵庫県議会議員の大矢卓志氏は、「アメリカでは不当な弾圧に対し法的な対応を進める動きがある一方で、日本ではそのような動きがほとんど見られないことを非常に残念に思う」と述べた。また、大矢氏は、中国共産党による26年間に及ぶ迫害の中でも、反政府的な行動を取らず、静かに法輪功の真実を伝え続ける法輪功学習者に対し、「不当な弾圧に屈しない姿勢には敬意を表したい。このような弾圧に抗議することは、民族や国境を超えた問題である」と語った。

 

日本ウイグル協会副会長 田中サウト氏

取材に答える日本ウイグル協会副会長 田中サウト氏(大紀元)

 

中国共産党は少数民族に対して大規模な迫害を行っている。日本でウイグル人への弾圧に抗議活動を続けている日本ウイグル協会副会長の田中サウト氏は、法輪功保護法案の意義について次のように述べている。

「アメリカのような外国でこのような法律が制定されたことは非常に重要だ。これは、臓器収奪や人権侵害に関与した者に制裁を加えることができ、さらに法整備や制裁措置が十分でない国々が中共政権に自由にアクセスできてしまうという問題点を補う役割も果たしている。だからこそ、この法案には大きな意味があると思う」

 

政治評論家 三浦小太郎氏

政治評論家の三浦小太郎氏は、「これまで多くの人が訴えてきたことが、実際に成果として現れている点で、一歩前進したと言える」と述べた(大紀元)

政治評論家の三浦小太郎氏は、「これまで多くの人が訴えてきたことが、実際に成果として現れている点で、一歩前進したと言える」と述べた。

 

世界の目覚めはすぐそこに

法輪功弾圧が始まってから26年が経過し、世界は徐々に中国共産党の本質的な問題に気づき始めている。中国共産党からの脱退者は、すでに4億人を超えている。アメリカ下院で可決された「法輪功保護法案」は、中国の人権弾圧に対し、国際社会が沈黙しない姿勢を明確に示すものである。日本も同盟国として、非人道的な迫害に対して明確な立場を打ち出すべき時期にきている。

日本法輪大法学会の会長・稲垣兼太郎氏は、次のように述べている。

 

日本法輪大法学会の会長の稲垣兼太郎氏

 

「現在、中国共産党は既存の世界秩序を壊し、自分たちに都合の良い新しい秩序を築こうとしている。中国共産党が推し進める覇権主義がいかに危険なものであるか、世界はようやく認識し始めている」

「法輪功保護法案には、アメリカの同盟国もこの方針を支持するという内容が盛り込まれている。世界が一致団結して法輪功を支援することで、中国共産党の非人道的かつ危険な覇権主義を暴露する大きなきっかけになると考える。それは非常に意義のあることである」