トランプ氏 フェンタニル取締法に署名 中国に死刑適用を要求

2025/07/18 更新: 2025/07/18

トランプ米大統領は16日、フェンタニル中毒の犠牲者家族らを前に、習近平との第1期政権時の合意に基づき、「フェンタニルの製造と流通に関与した中国人には死刑が科されることになる」と述べ、中国共産党(中共)政府が近くこの合意を履行するとの見通しを示した。

この発言は、「フェンタニルの致死的取引の全面禁止法(HALTフェンタニル法)」の署名式で行われた。同法はフェンタニルおよびその関連物質を麻薬取締法における最も厳格な「スケジュールI」に分類し、規制を強化する内容となっている。

「中国からフェンタニルを製造してアメリカに送る者には死刑が科されることになる。それが近く実現すると信じている」とトランプ氏は語った。

2025年に政権に復帰したトランプ氏は、中共がフェンタニル対策に関する合意を守っていないとして、中国製品への報復関税を導入した。

中国の化学メーカーなどが、フェンタニルの製造に必要な前駆物質を各国の犯罪組織に供給しているとみている。これらの化合物は、構造をわずかに変えることで検査をすり抜けることが可能であり、一部の犯罪者は、フェンタニルの100倍の強さを持つ「カルフェンタニル(Carfentanil)」など、より危険な代替薬を製造していると米麻薬取締局(DEA)は指摘する。

トランプ氏は「中国はフェンタニルを供給しており、それがメキシコ経由で、あるいは直接我が国に流入している。だからこそ、私は中国に20%の関税を課した。これは罰則としての措置だ。中国はこれにより数十億ドル規模の損害を負っている」と語った。

6月にデイビッド・パーデュー駐中国アメリカ大使との会談を受けて、中共政府はフェンタニルの前駆物質2種類を禁止薬物リストに追加し、7月20日から取り締まりを開始する予定だという。

過去10年間で、アメリカでは合成オピオイドによる過剰摂取により45万人以上が死亡しており、さらに多くの人々が依存症に苦しんでいる。

トランプ大統領は署名式で「私たちはこの瞬間に至るまで非常に努力してきた。今日、私たちは長年問題とされてきた麻薬ディーラーや密売組織、犯罪カルテルに対して、正義の一撃を加える」と語った。

この法案は超党派の支持を受けて可決しており、100グラム以上のフェンタニル関連物質を流通させた者には、最低10年の懲役刑が科される。麻薬取締局によると、100グラムは約5万人分の致死量に相当する。

一方、この法案に対しては懐疑的な声もある。需要が供給を生んでいるとの指摘や、法律は社会的に弱い立場の人々に過度な刑罰をもたらす可能性があるとの懸念を示している。

民主党のエド・マーキー上院議員は3月、「この法案はフェンタニル危機の解決にはほとんど貢献しない」として、次のように批判した。

「この法律は、依存症の研究や過剰摂取の逆転薬の開発を困難にし、刑罰によって家族や地域社会を分断するだけだ。効果的な対策から資源を遠ざけ、時代遅れの“麻薬戦争”型の対応に逆戻りさせてしまう。今、家族たちは本当の解決策を求めている。にもかかわらず、我々は政治的なパフォーマンス行為をしているに過ぎない」

カリフォルニアを拠点とする熱心な読書家であり、ジャーナリズムである。大紀元の金融、政治、州議会、そして速報ニュースを担当している。