米下院が「台湾衝突抑止法案」を可決 台湾の武力侵攻を抑止へ

2025/07/26 更新: 2025/07/26

米議会下院は7月21日、超党派の「台湾衝突抑止法案」を可決した。この法案は、中国共産党(中共)が台湾に対して軍事行動を起こした場合に、アメリカが中共高官のアメリカ内資産を公開し、その資産の出所や詳細情報を明らかにするという内容だ。外部では、この法案が中共内部の腐敗問題を巧みに利用し、台湾への武力侵攻を抑止する効果があるとみている。

アメリカ共和党の下院議員ヒル氏は次のように述べた。
「もし中共高官が誤った決定を下して台湾を攻撃することを選べば、彼らは経済的な罰を受けることになる」

この「台湾衝突抑止法案」は、7月21日に連邦下院で口頭無異議により可決した。提案者は、下院共和党会議議長のリサ・マクレイン議員と、民主党のブラッド・シャーマン議員だ。

法案によると、中共が台湾に対して軍事攻撃を行った場合、アメリカ財務省が中共に対して厳しい経済制裁を科すとともに、アメリカ国内の金融機関に保管されている中共高官の資産を凍結し、その資産の取得方法が違法または腐敗に関係しているかどうかを含めて公開するよう求めている。

対象となる官僚には、中共中央政治局常務委員、政治局委員、台湾関連業務に関わる党中央委員会のメンバーなどが含まれる。

アメリカ下院共和党会議議長のマクレイン議員は以下のように述べた。
「この法案は、明確な超党派のメッセージを発している。それは、中共が台湾で戦争を始めた場合、その結果に直面するということだ。ここで言う「結果」とは、腐敗した中共高官に対する実質的で標的を絞った措置であり、彼らの財務取引やオフショア口座(居住国外にある銀行で開設された銀行口座)が公開され、中国国民の目にも明らかになるということだ」

さらに法案には、アメリカ財務長官がアメリカの金融機関とこれらの官僚の直系親族との間で大口取引を行うことを禁じる条項も盛り込まれた。

台湾大学政治学科の副教授である陳世民氏は以下のように語った。

「現在、中共による台湾への安全保障上の脅威が高まっている中で、米下院が台湾衝突法案を可決したことは重要だ。この法案の目的はもちろん、中共の高官に対して台湾攻撃を思いとどまらせることにある。台湾攻撃の意思決定に大きな影響力を持つ中共高官に対し、強力な抑止効果をもたらすと信じている。なぜなら、多くの中共高官は極めて腐敗しており、習近平自身も例外ではないからだ」

また、台湾の民進党立法委員である陳冠廷氏は7月22日、「この法案は中共内部の腐敗を巧みに、てこ入れして、中共による対台湾武力行使を効果的に抑止するだけでなく、中国国民に支配層の真の姿を明らかにすることになる。中共高官の海外資産が公表されれば、国内での支配の正当性にも疑問が投げかけられるだろう」とコメントした。

陳世民氏はさらに「彼らのアメリカにある資産の多くは、いくつかの違法な手段で取得されたものであり、不正なマネーロンダリングを経てアメリカに流入している。そのため、中共高官の資産凍結や不正取引の情報公開は、彼らに対する大きな抑止力となると信じている」と述べた。

アメリカの立法手続きによれば、この抑止法案は今後、上院で可決された後、大統領の署名を経て初めて法律として成立する。

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